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フラットの超攻撃スタイルを貫いて世界7位になったルブレフ【若手有望選手の成長|第7回】<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.05.15

ルブレフの魅力である強烈な回り込みフォアハンド。写真:THE DIGEST写真部

 最近のテニス界は若手選手の活躍が目覚ましい。そんな彼らは、今から3年前の2018年頃から、その片鱗を見せていた。当時21歳以下の"NEXT GEN"として台頭してきた選手を、元プロテニスプレーヤーの辻野隆三氏に解説してもらった。現在の立ち位置とともに検証していく。

 シリーズ最終回は、現在世界7位で23歳のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)。18年以前から名前が知られていた選手である。17年にラッキールーザーからツアー初優勝、全米オープンではベスト8入りし、一時はランキングを31位にまで上げていた。その後、故障が続き、18年末ランキングは68位だった。

 18年の辻野氏の評価は、「早い時期から名前が挙がっていた才能のある選手です。ロシアの名選手だったカフェルニコフに似ていて、直線的で速いボールをガンガン打っていきます。フットワークも良く、フォアもバックもフラット系でどちらからでもエースが取れます」。今のスタイルとそれほど違いがないことがわかる。だから、危惧される点も当時とあまり変わりはない。
 
「ハマると手がつけられませんが、チェンジオブペースを使えないので、相手にプレースタイルを知られると勝ちづらくなることも。ただ、最近は少し我慢できるようになり、試合でも踏ん張れるようになってきました」

 故障の影響で2019年2月にはランキングは115位まで落ちた。そこから20年にはツアー5勝を挙げるまでに成長している。その過程でルブレフは忍耐力を身に付け、試合中に感情を爆発させることが多かったメンタル面も改善した。その変化が世界7位へと彼を押し上げたのだろう。

 ただし、ここから先へ進むには、やはりチェンジオブペースが必要になってくる。ルブレフが今後どう成長するのか注目だ。

◆Andrey Rublev/アンドレイ・ルブレフ(ロシア)
1997 年10 月20 日、ロシア生まれ、在住。188cm、75kg、右利き、両手BH。3歳でテニスを始める。父は元ボクサー、母と姉はテニスコーチ。16 歳で14 年全仏オープンJr. 優勝。2017年にラッキールーザーからツアー初優勝、全米オープンベスト8。18 年に腰を疲労骨折、19年に手首を故障。20年にはツアー5勝を挙げ、21年にキャリアハイ7位。

◆解説/辻野隆三(MIRAI テニスアカデミー代表)
元デ杯日本代表。NHKやGOARAのテレビ解説でもおなじみ。ATPマスターズを含む海外の大会に頻繁に行き、情報を常にアップデート。テニス事情に精通している。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2019年1月号(2018年11月発売号)より加筆・再編集

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