「彼は良い選手ですが、芝だと、まだ良さが出ていなかったのかなと思いました」と錦織圭が言ったのは、ウインブルドンの初戦でアレクセイ・ポピリンを、ストレートで圧勝した後のことだった。
ポピリンは、今季ツアー優勝もしている伸び盛りの21歳だが、芝の経験はキャリアを通じて7試合と圧倒的に少ない。芝巧者の多いオーストラリア出身だが、ムラトグル・アカデミーを拠点としたこともあり、クレーを最も得手とする。
その相手からグランドスラム通算100勝目を得た錦織は、彼我の最大の戦力差を、芝での経験に見出していた。
ならば2回戦で戦ったジョーダン・トンプソンは、芝でこそ、最も力を発揮する選手だっただろうか。
2017年には芝のクイーンズ大会でアンディ・マリーを破り、2年前はやはり芝のスヘルトーヘンボス大会で、決勝まで勝ち進んでいる。
錦織とトンプソンの対戦は、4年前のハードコートでの一度切り。錦織が6-1、6-1と圧倒したが、その時と今回との相手の違いに、錦織は戸惑ったかもしれない。
錦織対トンプソン戦が行なわれたウインブルドンの18番コートは、客席とコートが近く、ボールの軌道がわかりやすい。
そのコートサイドの観客席から、トンプソンがスライスを放つたび、感嘆の声が上がった。
打った瞬間はネットに掛かるかに思われる打球が、ネットの最も低い位置をギリギリに通過し、芝の上を滑るように跳ねる。その低い球筋のボールをすくい上げるように打っても、ボールは狙ったところに飛んではくれない。鋭く打ち返すとネットに掛かり、持ち上げようとすれば打球はラインを越えていった。
第1セットは、互いにサービスキープを続けた第12ゲームで、最後は錦織がバックをネットに掛けて落とす。
第2セットも、第1セットを焼き直したかのような展開。並走状態ながら徐々にミスが増えた錦織は、第10ゲームでバックをネットに掛けてブレークを許した。
ベンチに腰を沈め、頭からタオルをかぶり項垂れるその姿は、落胆しているのか、あるいは挽回に向け集中力を高めているのか、外野の目からは窺い知ることができなかった。
ポピリンは、今季ツアー優勝もしている伸び盛りの21歳だが、芝の経験はキャリアを通じて7試合と圧倒的に少ない。芝巧者の多いオーストラリア出身だが、ムラトグル・アカデミーを拠点としたこともあり、クレーを最も得手とする。
その相手からグランドスラム通算100勝目を得た錦織は、彼我の最大の戦力差を、芝での経験に見出していた。
ならば2回戦で戦ったジョーダン・トンプソンは、芝でこそ、最も力を発揮する選手だっただろうか。
2017年には芝のクイーンズ大会でアンディ・マリーを破り、2年前はやはり芝のスヘルトーヘンボス大会で、決勝まで勝ち進んでいる。
錦織とトンプソンの対戦は、4年前のハードコートでの一度切り。錦織が6-1、6-1と圧倒したが、その時と今回との相手の違いに、錦織は戸惑ったかもしれない。
錦織対トンプソン戦が行なわれたウインブルドンの18番コートは、客席とコートが近く、ボールの軌道がわかりやすい。
そのコートサイドの観客席から、トンプソンがスライスを放つたび、感嘆の声が上がった。
打った瞬間はネットに掛かるかに思われる打球が、ネットの最も低い位置をギリギリに通過し、芝の上を滑るように跳ねる。その低い球筋のボールをすくい上げるように打っても、ボールは狙ったところに飛んではくれない。鋭く打ち返すとネットに掛かり、持ち上げようとすれば打球はラインを越えていった。
第1セットは、互いにサービスキープを続けた第12ゲームで、最後は錦織がバックをネットに掛けて落とす。
第2セットも、第1セットを焼き直したかのような展開。並走状態ながら徐々にミスが増えた錦織は、第10ゲームでバックをネットに掛けてブレークを許した。
ベンチに腰を沈め、頭からタオルをかぶり項垂れるその姿は、落胆しているのか、あるいは挽回に向け集中力を高めているのか、外野の目からは窺い知ることができなかった。