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海外テニス

錦織圭を敗戦に追い込んだ原因不明の不調「イップス的な感じで、急に全く入らなかった…」<SMASH>

内田暁

2021.07.02

短い芝のシーズンを戦い終えた錦織は、気持ちを切り替え東京五輪から北米ツアーと続くハードコートの戦いへと向かう。(C)Getty Images

短い芝のシーズンを戦い終えた錦織は、気持ちを切り替え東京五輪から北米ツアーと続くハードコートの戦いへと向かう。(C)Getty Images

 第3セットでの錦織は、ドロップショットやネットプレーで相手に揺さぶりをかけるも、芝での動きに長けるトンプソンは、乱れない。錦織は突破口を見いだせないまま、早々にブレークされゲームカウント1-4に。この時点で、事実上の勝敗は決したかに思われた。

 ただ、続くゲームをフォアのウイナーでキープした時、何かが変わり始める予兆があった。

 ポイント間で常に細かく足を動かし、素振りを繰り返してフォームを入念に確認する。ゲームカウント2-4のリターンゲームでは、フォアのリターンウイナーを叩きこみ「カモン!」と鋭く叫んだ。目に見えて動きに躍動感が宿り始めた錦織は、最後もバックのリターンウイナーで、この試合初のブレークに成功。第11ゲームもブレークし、反撃の狼煙をあげた。

 だがこの良い時間帯は、あまり長くは続かなかった。明らかにレベルを上げた錦織のプレーを目の当たりにし、トンプソンも呼応するようにプレーを引き締めた面もある。互いにブレークを奪いあった第4セットで、より多くのブレークを許したのは錦織の方。最後は、リターンで苦しんだこの日の試合を象徴するかのように、センターにエースを叩き込まれた幕引きだった。
 
 試合後の錦織は、「自分のフォアが全く入らなかった」と、落胆を押し殺すように口にする。

 その理由を問われると、「わからないです。イップス的な感じで、急に全く入らなかったので」と、戸惑うように答えた。

 本人にわからぬ原因が、外野にわかるはずもない。ただ、「試合前は、早めにブレークのチャンスが来ると思っていた」という予想に反し、相手が芝への高い適性を発揮した事実に、驚きとストレスを覚えた側面はあっただろう。

「ハードの時より、相手のサーブに脅威は感じました。リターンもミスがなく、ちょっとずつ自分にプレッシャーが掛かってきていたのかもしれませんね」

 会見の終盤で、錦織は自身の内面に目を向け、そう言った。
 
 ただでさえ短い芝の季節は、望んだよりもさらに短く終わったかもしれない。

 ただその失意を引きずる間もなく、次の戦いはやってくる。

 コートはハードへと変わり、舞台は、まずは母国の日本に。1年の遅れのあついオリンピックを経て、昨年は出場が叶わなかった、北米へと旅路は続いていく。

現地取材・文●内田暁

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