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海外テニス

【プロの観戦眼8】打つ直前にコースチェンジするジョコビッチの“のけぞりスイング”を見よ~佐藤文平<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2021.07.25

肩を入れてダウンザラインに打てる体勢で構えた上で、身体をのけぞらせてボールを引っ張っており、恐らくクロスにコースチェンジしたと思われる。左下は佐藤文平プロ。写真:真野博正、THE DIGEST写真部

肩を入れてダウンザラインに打てる体勢で構えた上で、身体をのけぞらせてボールを引っ張っており、恐らくクロスにコースチェンジしたと思われる。左下は佐藤文平プロ。写真:真野博正、THE DIGEST写真部

 このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のこのショット」がすごいという着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。

 第8回は、元ワールドチームカップ日本代表で、テレビ東京などの解説者としてもおなじみの佐藤文平プロに話を聞いた。佐藤プロがぜひ一般のファンにも注目してほしいと語るのは、ジョコビッチの「瞬間的なコースチェンジ」だ。

「ジョコビッチの強さの理由はたくさんありますが、彼はストロークのラリーでダウンザラインに完璧に打てることに加えて、瞬間的にクロスにも持っていけるのがスゴイんです」

 ジョコビッチのプレーを見ていると、フォアでもバックでも時折身体をのけぞらせ、押し込まれたような体勢でクロスに打つことがあるが、それがそのショットだという。

「ジョコビッチは、構えの主体はダウンザラインを想定してボールを待ちます。だから完璧にダウンザラインに打てるのですが、相手がそちらをケアしていると見るや、瞬時に身体をのけぞらせて腕を引っ張り込み、クロスに持っていくんです。ラストモーメントでコースを変えられるのが、彼の強みだと思います」
 
 ダウンザラインの構えから身体を回してクロスに持っていく打ち方は、他のプロもよく見せるテクニックだが、ジョコビッチの場合はそれをギリギリのタイミングで行なうのが特別だと佐藤プロは指摘する。その芸当を可能にするカギが、一見アンバランスにも見える“のけぞり”なのだ。

「あれができる選手はツアーでも少ないですね。あのタイミングでコースを変えてくると、相手としては対応できない。振り出す直前までグッと構えてダウンザラインに見せているから、そのタメの時間も相手の足を止める効果を果たします」

 東京オリンピックにも出場しているジョコビッチ。今度彼の試合中継を見る時は、そんなギリギリのタイミングでの駆け引きに注目してみるといいだろう。

◆Novak Djokovic/ノバク・ジョコビッチ(セルビア)
1987年5月22日、セルビア生まれ、モナコ在住。188センチ、77キロ、右利き、両手BH。1位在位期間が史上最長。グランドスラム優勝は20回で歴代トップに並ぶ。マスターズ1000の9大会全てに優勝している唯一の選手。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】のけぞってボールを引っ張ったジョコビッチの両手バック、30コマの『超分解写真』
 

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