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海外テニス

【プロの観戦眼10】ズベレフの高い打点から打ち込む、エースが取れるフォアのクロスを見よ~寺地貴弘<SMASH>

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2021.09.05

約2メートルの身長から、ジャンプしながら高い打点で打ち込むズベレフ。右下は寺地貴弘プロ。連続写真:真野博正、右下写真:THE DIGEST写真部

約2メートルの身長から、ジャンプしながら高い打点で打ち込むズベレフ。右下は寺地貴弘プロ。連続写真:真野博正、右下写真:THE DIGEST写真部

 このシリーズでは、多くのテニスの試合をチェックしているプロや解説者に、「この選手のここがすごい」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。

 第10回は寺地貴弘プロに話を聞いた。注目しているのは、東京五輪で金メダルを獲得したアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)だ。

「ジョコビッチやナダルに年2、3回勝てる選手は誰かと考えるとズベレフだと思いました。長身でリーチが長く、1つ1つの技術が高い。ボールのスピードが出せて、角度も付けられます。ファーストサービスもコンスタントに時速200キロ、最速になると時速220キロも出せます」

 特に他の選手と比較して武器となっているのがエースを取れるフォアハンド。「高い打点から角度のついたショットが打てます。デルポトロに近いフォアと言えばわかりやすいかもしれません。ジョコビッチに勝つには、オーバーパワーする必要があります。1つのショットでエースを取れないと勝てません。その点、ズベレフにはこのフォアとサービスがあるので、可能性を感じます」
 
 24歳のズベレフは現在4位で、20歳の頃から将来のナンバー1候補として期待されていた。しかし、グランドスラムでなかなか結果が出せずに苦しい時期を過ごすことに。だからこそ、今回の東京オリンピックで金メダルを取ったことで、より注目したいと言う。

「選手には自信を実力に変えられる時期があります。金を取った今がズベレフにとっては、その時でしょう。これからのハードコートシーズンは注目です。ここで勝てれば、来年はかなり面白い存在になると思います」

 ズベレフのポテンシャルは誰もが認めるところだが、メンタルは課題だと言われていた。金メダルが大きく成長するきっかけとなるかもしれない。まずは、この全米オープンでのプレーに注目だ。

◆Alexander Zverev/アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
1997年4月20日、ドイツ生まれ、モナコ在住。198センチ、90キロ、右利き、両手BH。19歳でツアー初優勝し、20歳でマスターズを含む5大会で優勝してキャリアハイ3位にランクイン。20年全米オープン準優勝。21年東京五輪金メダル。両親は元テニス選手で、父親は現在のコーチ。兄ミーシャもテニス選手。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

【連続写真】ズベレフの高い打点からエースが取れるフォアハンド

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