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海外テニス

「我慢強く、なおかつ攻撃的に」錦織圭が思い描く対ジョコビッチ7年ぶりの勝利のための戦略<SMASH>

内田暁

2021.09.04

全米3回戦で絶対王者ジョコビッチに挑む錦織圭。多くは語らないが、やりたいことは頭に入っているという。(C)Getty Images

全米3回戦で絶対王者ジョコビッチに挑む錦織圭。多くは語らないが、やりたいことは頭に入っているという。(C)Getty Images

「3-0で僕が勝つ。以上だ」

 2016年全豪オープンテニスの、準々決勝前夜。スタッフたちと食事を共にしていたノバク・ジョコビッチは、翌日の錦織圭戦に話題が及ぶと、言下にそう断言したという。

「どうして?」と問う声にも、「わかっているからだ」と断言。果たして翌日の試合でジョコビッチは、6-3、6-2、6-4のスコアで宣言通りの勝利を手にした。

 2014年の全米オープン準決勝で、錦織が大観衆の声援を背にジョコビッチを破ってから、1年半後の出来事。あの敗北以降、ジョコビッチはこの全豪を含めて錦織と5度戦い、一度も敗れてはいない。そしてその後も今日に至るまで、先の東京オリンピックを含め両者は11試合戦い、全てジョコビッチが勝利している。

 今大会で年間グランドスラムを目指し、すでに“史上最強”の呼び声も高いジョコビッチが、どの選手に対しても高い勝率を誇るのは、ある意味で当然だ。ただその現実を差し引いても、錦織と戦う時のジョコビッチは、プレーの質が高い感が否めない。

 実はジョコビッチ本人も、そのことを認めている。
 
「ケイは試合立ち上がりから、素晴らしいプレーをしてくることがわかっている。だからこちらも、最初から100%に近いプレーをすべく、集中力を高めて試合に入っている。それに彼は早いタイミングでボールを捉え広角に打ち分けてくるので、こちらもそのタイミングに合わせて、調子が上がってくる」

 それがジョコビッチが明かす、彼が錦織に強い理由。敬意にも似た高い警戒心と、錦織が得手とするプレーのさらに上を行って勝つという、頑ななまでの矜持。それら強き思いの原点に、2014年のニューヨークでの敗戦があるのは間違いないだろう。

 あれから7年経った今も、ジョコビッチの心から、あの敗戦の影は消えていない。

 今大会の3回戦での対戦が決まった時、ジョコビッチは錦織との“歴史”について、次のように語っている。

「我々は多くの試合を重ねてきた。結果は、僕にとって非常に良いものだ。僕が最後に彼に負けたのは、ニューヨークでの2014年の準決勝。ここは彼が、最も良い結果を残してきたグランドスラムだと思う」
 
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