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国内テニス

「この道を選んで良かった」。プロ1年目の森崎可南子がプレースタイルを変えて初の4強入り

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2019.10.31

攻撃的なショットを打ち込む森崎可南子。写真:滝川敏之

攻撃的なショットを打ち込む森崎可南子。写真:滝川敏之

「三菱 全日本テニス選手権94th」第6日は10月31日(木)、東京・有明コロシアムで、男子シングルス3回戦、女子シングルス準々決勝などが行なわれた。

 男子は第2シードの
今井慎太郎(イカイ)と、第6シードの野口莉央(明治安田生命)が準々決勝に駒を進めた。


 女子は、第4シードの加治遥(島津製作所)と第16シードの秋田史帆(橋本総業HD)が4強入り。最も注目度の高かった内藤祐希(亀田製菓)と本玉真唯(島津製作所)の対戦は、6-3、3-6、6-3の接戦で、本玉が制した。
◆今日の注目選手=森崎可南子(橋本総業HD)

 ノーシードの森崎が、準々決勝で第11シードの華谷和生(三浦工業)を、6-3、7-6(8)で破り、準決勝進出を決めた。

 ベスト4入りについて本人は「えっ、ベスト4? という感じで、自分でも驚いています」と実感が沸いていない様子。実は大学を卒業して今年の5月にプロになってから、初めてベスト4入ったのだ。

 そもそもプロになるつもりもなく、就職活動までしていた。すると、多くの人から「現役でバリバリできるのは今しかないよ」「すごいプレーができるんだから、もったいない」との温かい言葉をもらい、今年の2月にプロになろうと決意した。

 普通の社会人ではなかなか味わえない、毎日が勝負という刺激的な生活ができること、そして全日本でベスト4入りという結果が出た今は、「この道を選んで良かった」と、自分の選択に満足している。

 しかし実際は、プロ転向後あまり良い結果が出せていなかった。その不調を乗り越えられた要因はプレースタイルの変化にある。今までの彼女は、ショットは良いものを持っているが、攻撃ばかりの印象で、自分のプレーが少し崩れると負けていた。それが、今日の試合では打つばかりではなく、高い軌道のボールを打ってつなぐ姿も見られた。

「ループ(ボール)を使えている」と本人も思ったほど、変化をもたらしたのは、今年の7月に開催されたユニバーシアードだった。会場はイタリアのレッドクレーだったため、打つだけでは勝てず、「空間を使って戦術を自分なりに考えた」と言う。それを切っ掛けに、プレースタイルを変えることができたのだ。

 それから森崎は今までより格段に強くなった。シード選手を相手に、第1セットを取り、第2セットも3-0とリードする。そこで「そんなに簡単にはいかないだろう」と、考えなくていいことを考え、ショットの精度が落ちて追いつかれた。しかし、タイブレークでは、「自分のテニスで行こう」と気持ちを切り替えて、3度目のマッチポイントで勝利をもぎ取った。

 次は第5シードの本玉と戦う準決勝。「ここまできたら、もう楽しむだけです」とニコニコと話す森崎。ノープレッシャーで大番狂わせを起こす可能性もある。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

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