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ジョコビッチ入国騒動を徹底解説!ビザが発行された昨年11月からの詳細と経緯<SMASH>

内田暁

2022.01.16

連邦裁判所に向かうジョコビッチ。(C)Getty Images

 ノバク・ジョコビッチのビザ取り消しに関する問題は、大会開幕の前日を迎えてなお、法廷闘争の泥沼状態に陥っている。同大会で9度の優勝を誇る世界1位は、この最終法廷で勝てなければ、今後3年間、オーストラリアに入国ができない可能性が高い。
 
 この一連の出来事を、法廷に提出された資料や、『The Age』などの地元紙が公開した政府とテニスオーストラリア(オーストラリアのテニス協会)間の手紙をもとに振り返ると、次のようになる。

 ジョコビッチへのビザ(査証)が発行されたのは、2021年11月18日。ただ、この時点でのビザ発行申請書類に、オーストラリアへの渡航条件とされる"ワクチン接種証明"は含まれていなかった。ビザの種類は"Temporary Activity(一時活動ビザ)"であり、これは必ずしも、入国を保証するものではない。

 ジョコビッチはかねてより、ワクチンに対し懐疑的な見解を示してきたが、自身がワクチンを打っているか否かについては、「明かさない」というスタンスを取っていた。
 
 全豪オープン・トーナメント・ディレクターのクレイグ・タイリーはこの間、ワクチン接種の完了していない選手や関係者の渡航許可について、開催地であるビクトリア州や、オーストラリア政府と幾度もやりとりを重ねている。
 
 11月18日の時点で、政府の保健省はタイリーに宛てて「過去にCovid-19に感染しておりワクチン接種をしていない者は、ワクチン完了とはみなされず、隔離なしの入国対象にはなりえない」と書いた手紙を送っている。これ以外にも書面には、「過去にCovid-19に感染し、ワクチンを一度のみ接種(※J&Jはこの限りではない)しているケースも、接種完了ではない」など、複数の条件も列挙している。

 ただビクトリア州の医療責任者は、12月2日の時点で、「過去6か月以内にCovid-19に感染し、それを証明できる渡航者は、ビクトリア州到着時の隔離免除の対象となる」とテニスオーストラリアに通達を出していた。

 テニスオーストラリアは12月7日の時点で選手たちに、「過去6か月にCovid-19に感染したことを証明できれば、ワクチン完了を免除される」とも取れる内容のメールを送ったという。

 そして以下は、ジョコビッチが提出した、Covid-19感染証明の内容になる。
 PCR検査のサンプルが提出されたのが、12月16日の13時5分。
 陽性結果が出たのは、当日12月16日の20時20分。
 さらには12月22日16時16分にPCR検査を受け、陰性だった証明書も提出している
 
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テニスオーストラリアが12月30日に出した免除証明とは