海外テニス

サービスを改造して好調の大坂なおみ。助言したキリオスがその内容を明かす「自分の“間”を取ることが大切だ」<SMASH>

内田暁

2022.03.28

キリオスと練習を共にし、彼のアドバイスでサービスフォームを変えた大坂なおみ。それは「私がずっと求めていたテクニックだった」という。(C)Getty Images

「私の現在地を知るための、格好のテストだと思う」

 マイアミ・オープンの1回戦を突破した時、大坂なおみは、来たるアンジェリーク・ケルバーとの対戦をそう評した。

 ケルバーは3度のグランドスラム優勝を誇る女子テニス元世界1位で、現在も15位につける実力者。先のBNPパリバ・オープンでも、敗れはしたがイガ・シフィオンテクとフルセットの熱戦を演じ、34歳を迎えた今なお、危険な選手であることを印象付けたばかりだった。

 そのテストを大坂は、6-2、6-3の圧巻のスコアでパスしてみせる。

「今日のナオミは、完璧に近いプレーをした。特にサーブが素晴らしく、私は常に守勢に回らざるを得なかった」

 敗戦後は言葉数少ないケルバーが、この日は、笑みを交えて大坂を称える。敗戦を受け入れるサバサバとした口調が、大坂の高質のプレーを映していた。
 
 ケルバーが敗因として挙げた大坂のサービスは、勝者の側から見れば勝因となる。この日は、ファーストサービスの確率こそ52.9%とそこまで高くなかったが、強風を考慮すれば仕方のないところ。

 それ以上に着目すべきは、88.9%のファーストサービスポイント獲得率。セカンドサービスでも58.3%と高く、許したブレークはゼロ。リターン巧者のケルバー相手であることを思えば、驚くべき数字である。

 なお1回戦のアストラ・シャルマ戦でも、大坂のサービスポイント獲得率は、ファーストで93.1%。セカンドでも70%を叩き出していた。

 この数字には大阪も、「この1年、リターンとサーブに取り組んできた成果」と、表情にも自ずと明るい色が灯る。とりわけ、今大会でのサービス好調の背景には、意外な人物の助力があることを、大坂はケルバー戦後に明かした。

 その人物とは、ニック・キリオス。せっかちなまでに早いリズムで、次々に時速200km超えの超高速サービスを叩き込む、天才肌のサービスの名手だ。

 大坂がキリオスと練習を共にする機会があったのは、BNPパリバ・オープンを控えたロサンゼルス。一見意外にも見えるタッグが実現したのは、両者のエージェントが同じだからだ。
 
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キリオスからサービス“だけ”を学んだ大阪