トップ選手には世界へと駆け上がる過程で転機となった試合や出来事があるものだ。このシリーズでは国内外のテニスツアーを取材して回るライターの内田暁氏が、選手自身から「ターニングポイント」を聞き出し、心に残る思いに迫る。今回はファンに愛され続けるベテラン、ガエル・モンフィス(フランス)だ。
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地元フレンチ・オープンを含む3つのグランドスラムジュニアを制し、彼が「テニス界の未来」と目された時から、18年の月日が流れた――。
当時17歳の長身痩躯の少年は、テニスという競技が歴史の中で築いてきた常識の枠を、軽やかに超えてみせた。100メートル競技でも国内ジュニア1位を誇る走力と、バスケットボールプレーヤーを彷彿させる跳躍力。コート狭しと駆け回り飛翔するその姿は、見る者の記憶に深く焼き付いた。
あれから20年近く経った今も、ガエル・モンフィスの衝撃は、色あせることがない。「バスケットボールの試合を見てインスピレーションを得ている」という、空中遊泳のような身のこなし。"スライダーマン"の異名を取る、コート上を縦横に滑るフットワークとボディバランス。
今年3月のBNPパリバ・オープンでモンフィスは、世界1位に座したばかりのダニール・メドベージェフを、逆転で破った。彼が時の世界1位に勝利するのは、実に13年ぶりのこと。2009年ドーハ大会で、ラファエル・ナダルに勝って以来の"快挙"だった。
35歳を迎えた今なお、彼は大舞台で観客を熱狂させ、エンターテインメント性に溢れた試合を演じてみせる。
その情熱の火種となる、忘れがたい試合や大会はあるだろうか――?
いささか対象範囲の広いその問いに、ベテランはさほど間を開けずに、すらすらと応じ始めた。
「もちろん、当時1位のラファのような偉大な選手に勝った時は、とてもうれしかった。ただ、鍵になる重要な試合という意味では、ロジャー(フェデラー)にデビスカップで勝ったのが一番。彼に勝った時は、本当にうれしかった」
モンフィスが真っ先に挙げたフェデラーからの勝利は、地元開催の2014年デビスカップ決勝戦で、母国にもたらした殊勲の星だ。立ち上がりからバックハンドで攻めるモンフィスは、第1セットを6-1のスコアで奪取。続くセットも、6-4で競り勝った。
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地元フレンチ・オープンを含む3つのグランドスラムジュニアを制し、彼が「テニス界の未来」と目された時から、18年の月日が流れた――。
当時17歳の長身痩躯の少年は、テニスという競技が歴史の中で築いてきた常識の枠を、軽やかに超えてみせた。100メートル競技でも国内ジュニア1位を誇る走力と、バスケットボールプレーヤーを彷彿させる跳躍力。コート狭しと駆け回り飛翔するその姿は、見る者の記憶に深く焼き付いた。
あれから20年近く経った今も、ガエル・モンフィスの衝撃は、色あせることがない。「バスケットボールの試合を見てインスピレーションを得ている」という、空中遊泳のような身のこなし。"スライダーマン"の異名を取る、コート上を縦横に滑るフットワークとボディバランス。
今年3月のBNPパリバ・オープンでモンフィスは、世界1位に座したばかりのダニール・メドベージェフを、逆転で破った。彼が時の世界1位に勝利するのは、実に13年ぶりのこと。2009年ドーハ大会で、ラファエル・ナダルに勝って以来の"快挙"だった。
35歳を迎えた今なお、彼は大舞台で観客を熱狂させ、エンターテインメント性に溢れた試合を演じてみせる。
その情熱の火種となる、忘れがたい試合や大会はあるだろうか――?
いささか対象範囲の広いその問いに、ベテランはさほど間を開けずに、すらすらと応じ始めた。
「もちろん、当時1位のラファのような偉大な選手に勝った時は、とてもうれしかった。ただ、鍵になる重要な試合という意味では、ロジャー(フェデラー)にデビスカップで勝ったのが一番。彼に勝った時は、本当にうれしかった」
モンフィスが真っ先に挙げたフェデラーからの勝利は、地元開催の2014年デビスカップ決勝戦で、母国にもたらした殊勲の星だ。立ち上がりからバックハンドで攻めるモンフィスは、第1セットを6-1のスコアで奪取。続くセットも、6-4で競り勝った。
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