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日本代表・村松千裕がサービスの精度を上げるために実践したことは?鍵はトスの上げ方【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.05.15

精度を重視した村松選手のサービスフォーム。上体をひねりながらトスを上げることで(2~3コマ目)、余計な力が抜け、トスも安定するようになったという。写真:滝川敏之

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は、昨年のBJKカップで日本代表デビューを飾った村松千裕選手の2回目。サービスの精度をアップさせるコツについて教えてくれた。

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「サービスは私にとって永遠の課題です」と自ら言うように、村松選手は決してサービスを得意にはしていない。しかしだからこそ過去に様々な矯正を施してきたし、今なお「早い展開を作るためにも、サービスの強化に取り組んでいます」と語る。

「海外の選手ほどのパワーはないにしても、できるだけサービスゲームで自分から主導権を握ることが大事だと思っています。私は結構試合が長くなるタイプで、体力的にも消耗するので、サービスで少しでも早い展開を作っていきたいんです」

 では具体的にはどのようなサービスを目指しているのか?

「2ndサービスになるとどうしても攻撃されてしまうので、1stサービスの確率を上げる中で、コースを正確に突けるようにずっと練習しています」とのこと。体格的にスピードで海外の選手と張り合うのは無理がある。コントロールの精度をいかに上げるかが村松選手の生命線であり、これは多くの一般愛好家にも共通することだろう。
 
 そのために彼女が行なった矯正はこうだ。

「フォームは大きく変えていませんが、トスの上げ方を少し変えました。今までは腕をそのまま真っすぐ上げていたのを、身体をひねりながら上げるようにしたんです」

 それによるメリットは多い。まず「身体のひねりを使えると、楽にパワーを出しやすくなります」というのが1つ。自分で力を込めようとしなくても自然に腕が加速するので、再現性の高いスイングができる。「余計な力が抜けるようになりました」と村松選手も実感している。

 また「以前はトスが色んな方向にバラついて、上げ直しが多かったんですが、流れの中で上げるようになったぶん安定してきました」と、トスへの恩恵も大きいようだ。手先で上げるよりも、身体の大きな部分を使った方が動きが安定するということだろう。

 それ以外では「打点を高く取ることも意識している」という村松選手。高い位置で打てば必然的に角度もつけやすくなる。一般愛好家にも参考になることが満載の、村松選手のアドバイスだった。

【プロフィール】村松千裕/むらまつ ちひろ
1998年5月22日、千葉県生まれ。161cm、左利き。パワーに頼らず、頭脳的な配球で相手を揺さぶり、タイミングの早さで攻撃するスタイル。2020年全豪オープン予選初出場で初戦に勝利。21年には日本代表としてBJK杯を戦った。WTA自己最高205位。グラムスリー所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2020年12月号より再編集

【PHOTO】村松千裕の流れを重視したサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』