海外テニス

大坂なおみ、全仏オープンは不完全燃焼に終わるも「だからこそ人生は面白い」とポジティブ思考<SMASH>

内田暁

2022.05.25

全仏オープンでは初戦敗退に終わったが、大坂なおみは今大会に向けた自身の取り組みについて手応えも感じているようだ。(C)Getty Images

 全仏オープン1回戦で、アマンダ・アニシモアと対戦すると聞かされた時、大坂なおみは「冗談でしょ?」と返したという。

 その真意がいかなるものかは、本人もはっきりとは語らなかった。ただ、直近の対戦である全豪オープン3回戦で敗れた相手であることが、頭にあったのは間違いない。

 現在のアニシモアは、世界の28位。クレーシーズンに入ってから好調で、今季の累計獲得ポイントレースでは12位につけている。「嫌な相手ではない」と大坂はアニシモアを評したが、対戦したい選手では決してなかっただろう。

 もちろんそれは、アニシモアも同様だ。いや、第27シードにつけながらも4度のグランドスラム優勝者と初戦で当たるのだから、不運への嘆きはアニシモワの方が大きかった。

「ものすごくタフな1回戦なのだから、気持ちを落ち着かせるのは難しかった。特にここ数日は、いろんな予測をしてしまった。なるべく考えないようにしようと思ったが、緊張とストレスを抱えながら試合に向かっていた」

 試合後にアニシモアは、そう打ち明けた。
 
 結論から言えば、多くの人々が注目した初戦きっての好カードは、7-5。6-4でアニシモアが勝利する。アニシモアが今季、クレーで最も多い勝ち星を得ていること。対する大坂は3週間前にアキレス腱を痛め、わずか2試合しかクレーで戦えずに全仏に挑んだことを思えば、致し方ないスコアだ。

 それら種々の条件を思ったとき、むしろ大坂のプレーは良かったとも言える。戦前から語っていた「重いボールを用いる」ストローク戦では、互角の戦いを見せた。スピンを掛けた重く安定したショットの体得は、大坂がここ数年取り組んできた課題の一つ。その成果を感じられたのは、一つの収穫だったろう。

 ただ本人も認める通り、「実戦と練習不足から来る、対峙な局面での判断ミス」は如何ともしがたかった。特に許した4つのブレークのうち、3つはダブルフォールトでの献上。

「リターンの良い選手との試合が少なく、特に緊迫の場面では、相手の高いリターン能力を考えて不安になり、無理をしすぎてしまった」

 それが、大坂が明かす自己分析だ。
 
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不完全燃焼に終わるも自身がやるべき事は見えている