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海外テニス

柴原瑛菜が全仏OP混合複で優勝!トレーナーの兄と取り組んでサービス強化「フィジカルも頑張ってきた」<SMASH>

内田暁

2022.06.03

コールホフからペアを依頼し2日後に返事をした柴原。初のコンビで全仏OP初優勝。(C)Getty Images

コールホフからペアを依頼し2日後に返事をした柴原。初のコンビで全仏OP初優勝。(C)Getty Images

 夢に見た栄冠は、センターに叩き込んだサービスで、自らの手でつかみとった。

「一瞬、信じられなかった」

 それが、勝利の瞬間に襲われた感覚。同時に、彼女はこうも語る。「でも打つ場所を決めて、エースを狙って打ちました」。

 柴原瑛菜が、全仏オープンテニスの混合ダブルスで駆けあがった頂点。それは、「子どもの頃からの夢」の舞台でもあった。

 ともに夢を叶えたパートナーのウェスリー・コールホフは、「今大会で初めて顔を合わせた」選手だった。インスタグラムを通じ、コールホフから「パートナーが決まってなかったら一緒に組まない?」と連絡が来たのが、1カ月ほど前のこと。しかもメッセージは未読のまま、2日間放置された。

 リアクションがないことに気を揉んだコールホフだが、柴原の返事をじっと待った。果たしてメッセージを目にした柴原は、慌てて「遅れてごめん! まだパートナーが決まってなければ組もう」と返す。こうして未来の“全仏優勝ペア”は、ぎりぎりのところで出会うことができた。

 事実上の初対面とはいえ、2020年ATPファイナルズ優勝者のコールホフが、柴原に白羽の矢を立てたのには理由がある。
 
「瑛菜は全てを持っている。サーブが良いしリターンも良い。ネットプレーもとても良かった」。それらコールホフが列挙する武器の中でも、今大会の柴原が特に「自信を持っていた」というのが、サーブだ。

 米国カリフォルニア育ちの柴原にとって、サーブを起点とした攻撃テニスは、心身に染みついた本能だ。本格的にテニスを始め、最初に「ロールモデル(お手本)」とした選手は、南カリフォルニア出身のピート・サンプラス。8歳でUSTA(全米テニス協会)のジュニア強化選手にもなり、若い頃からキックサーブも普通に練習し体得した。

 そして進学先のUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で、師事したテニス部キャプテンは、ピートの姉のステラ・サンプラス。大学時代の柴原は、入学直後からシングルスでも主戦力を務めた。

 かくして単複双方で活躍してきた柴原は、東京オリンピックを終えた後、かねてより考えていた通り、シングルスでの成功も追い始める。そのためオフシーズンには、サーブ強化に取り組んできた。
 
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