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海外テニス

全仏OPの新大会ディレクター、モーレスモの選手目線の取り組み。今後の注目はナイトセッションの改善<SMASH>

内田暁

2022.06.06

元女子世界1位のアメリー・モーレスモが大会ディレクターとなり、新しい改革も行なわれた。(C)Getty Images

元女子世界1位のアメリー・モーレスモが大会ディレクターとなり、新しい改革も行なわれた。(C)Getty Images

 褒められ、けなされるのは要職に就く者の宿命だが、時流のめぐり合わせもあり、予測以上に厳しい船出となっただろうか?

 今年、全仏オープンテニスのトーナメントディレクタ―に就任したのは、アメリー・モーレスモ。全豪とウインブルドンを制した元トッププレーヤーであり、アンディ・マリーのコーチ等も歴任した、経験豊富な指導者でもある。

 プレーヤーとしての輝かしいキャリアに、42歳の若さ。女性であることも、新しさの象徴と目された。

「彼女が私の練習の時に来てくれて、話すことができた。テレビではよく見ていたけれど、実際に会うのは初めてだったの」。そう興奮気味に語ったのは、大坂なおみ。「きっと彼女は、大会をどんどん良くしてくれると思う」と、選手目線の大会運営と改革に期待を寄せていた。

 実際にモーレスモは、選手の心身の負担を軽減する方針を複数打ち出している。ナイトセッション後の会見には、時間短縮のためミックスゾーンを主に用いた。女子世界2位のパウラ・バドーサが敗戦後に激しく動揺していた際は、会見は行なわず本人のコメントを出すにとどめた。

「趣旨とするのは、選手が精神的苦痛を味わわないようにすること」

 大会終盤に行なわれた会見で、モーレスモはそう語る。「選手が試合に集中し、自分の時間や空間を持てるように」と、会場内のゾーニングも強化した。
 
 ただそのような発言と変革に対し、「ダブルスタンダードだ」と批判する声も多かったのも確か。その最大の理由は、昨年から導入されたナイトセッションにある。夜8時45分からの開始設定は、日をまたぐ試合を多く生んだ。

 初夏とはいえ、パリの夜は長く、つるべ落としに気温も下がる。ナダルをはじめ多くの選手たちからも、「ボールが飛ばなくなる」「身体への負担が増す」と、ナイトセッションの状況を批判する声が上がった。

 ただモーレスモは、「日中仕事をしている多くのテニスファンに歓迎されている」とメリットを多く述べ、今後については「今回の結果を集計し、改善点があるか検討する」と応じるにとどまった。

 ナイトセッションに関するモーレスモの発言が、物議をかもしたのは、その後だ。

「10試合あるナイトセッションのうち、女子の試合は1つ。“本日注目の一戦”と銘打たれたナイトセッションに、女性が少ないのは、どういうことか?」英国ジャーナリストにそう問われたモーレスモは、次のように応じた。
 
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