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元日本代表の波形純理が最大の武器、バックのダウンザラインを自己解説。ポイントは左手と左足!【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.07.09

波形選手がダウンザラインで意識しているのは、左足を決めてから右足を踏み込むこと(2~3コマ目)。そして左手のひらでラケットを押すことだ(5~7コマ目)。写真:THE DIGEST写真部

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は、元日本代表で40歳の今なお現役で活躍する波形純理選手の2回目。両手バックのダウンザラインについてレクチャーしてくれた。

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「バックハンドは昔から得意なんです」という波形選手。「特にダウンザラインへの強打は武器にしています」と自信ありげだ。一般的にはバックでダウンザラインに叩くのは難易度が高いが、なぜ得意なのだろうか?

「フォアと違って、バックはラケットが手のような感覚があり、左手の手のひらで打っている感じがするんです。だから私は左手をすごく使いますね」とのこと。この左手が緻密なコントロールの鍵となっている。

「アウトしそうな時でも左手をちゃんと振ると、手のひらでボールを飛ばす方向を感知できて、コントロールを合わせられるんです。ダウンザラインの時は、すぐにラケットを巻き込まず、左手で一回前に押してから、戻してきて振り切るイメージです」

 バックのダウンザラインがうまく打てない人は、ラケットヘッドを早く返して、引っ張り込んでいる可能性がある。左手のひらの押しを意識するのが、方向性を出しやすくするコツだ。
 
 腕だけでなく、足も大切だと波形選手は語る。もう1つダウンザラインで意識しているのが「体重のかけ方」だそうだ。「走ってきたら、軸足の左足にしっかり乗ってから、右足を踏み込むようにしています」とのこと。

「まずはボールの後ろに左足を置くことです。これがないと身体が逃げてしまい、安定しません。左足で身体の勢いをグッと止められると、右足に体重を乗せやすくなります」

 走ってきた流れのままダウンザラインを狙っても、ボールは左に切れてサイドアウトする。軸足をしっかり決められるかが、成否を分けるポイントだ。

【プロフィール】波形純理/なみがた じゅんり
1982年7月5日、埼玉県生まれ。172cm、右利き。早稲田大学卒業後、プロ転向。高速ストロークを武器に、2011年には全豪、全仏オープンの本戦に出場。WTA最高105位をマークし、フェドカップ(現BJK杯)日本代表も務めた。今も日本女子の上位として活躍する息の長い選手。所属/フリー。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2021年2月号より再編集

【PHOTO】波形純理の両手バックハンドのダウンザライン、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』