海外テニス

トップ10入りを果たしたアメリカの俊英フリッツの次なる目標は、ATPファイナルズ出場と「トップ5」<SMASH>

中村光佑

2022.10.13

年頭に立てたトップ10入りの目標を楽天オープン優勝で果たしたフリッツは、さらなる高みを目指し始めた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 先週の男子テニスツアー「楽天ジャパンオープンテニス」(東京・有明/ハードコート/ATP500)で同大会初優勝を飾った世界ランキング8位のテイラー・フリッツ(アメリカ)が、ATP(男子プロテニス協会)のインタビューに登場。自身初のトップ10入りを果たしたことへの喜びを語るとともに、新たな目標を明かした。

 新型コロナウイルスの感染により、楽天の前週に出場するはずだった韓国オープンの欠場を余儀なくされたフリッツは、同国で1週間の隔離があり、試合への準備もままならなかった。しかし、大好きな日本の大会で素晴らしいプレーを披露。見事に決勝に進出を果たすと、同郷のフランシス・ティアフォー(大会時19位/現17位)をストレートで撃破。今季ツアー3勝目を挙げた。

 この結果10月10日に更新された最新の世界ランキングでは、自己最高位となる8位に浮上。これについてフリッツは「プレーし始めて間もない若い選手たちにとって、トップ10に入るというのは大きなマイルストーンであり、誰もがその夢を叶えたいと思っているだろう。本当に長い間目指してきたことの一つだから、やっとそこに到達できてうれしいよ」と感慨深げにコメントした。

 3月のBNPパリバ・オープンで四大大会に次ぐマスターズ初優勝を達成するなど今季序盤から長く好調を維持してきた24歳は、シーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(11月13日~20日/イタリア・トリノ/ハードコート)のレースランキングでも2885ポイントで7位に位置しており、残り3枠となっている出場権獲得も近付いてきている。
 
 だが、8位につけるフェリックス・オジェ-アリアシム(カナダ/世界13位)とはわずか5ポイント差、9位のフベルト・フルカチュ(ポーランド/同11位)とも160ポイントしか離れていない。「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月31日~11月6日/フランス・パリ/ATP1000)をはじめグレードの大きい大会も残っているため、まだまだ安心はできないのだ。

 自身初の最終戦出場を視界に捉えていることを踏まえ、フリッツ本人も「短期的な目標はトリノに行くことだ」と意気込みを見せる。その一方で最終的なゴールは「別にある」と言う。

「昨年から今年にかけてチームで話し合ったのは、トップ10を目指すということだった。そして世界ランク12位くらいになったら『もう止まらずに進もう。トップ5を目指す』と決めていた。もっと上に行きたい。グランドスラムの準決勝か決勝に進むことが次のステップだと思う」

 次戦は10月17日から開催される「ストックホルム・オープン」(スウェーデン・ストックホルム/ハードコート/ATP250)に参戦予定のフリッツ。さらなる高みを目指す24歳の挑戦は続く。

文●中村光佑

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