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入国禁止は解除されるか? ジョコビッチが来年の全豪オープン出場に関し「前向きな兆しはある」と発言<SMASH>

中村光佑

2022.10.27

全豪で歴代最多の9回の優勝を数えるジョコビッチだが、現時点では入国禁止措置を受けている。果たして解除されるのか?(C)Getty Images

 今年1月に新型コロナウイルス・ワクチン接種免除をめぐるオーストラリア入国騒動の末、国外退去と全豪オープン欠場を余儀なくされ、豪州政府から「今後3年間の入国禁止」を通告された男子テニス元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現世界ランク7位)。未だにワクチン接種を完了していない35歳の鉄人は、2023年の同大会出場について「前向きな兆しはある」と期待を寄せている。

 このほどセルビアメディア『Sportal』のインタビューに応じたジョコビッチは来年の全豪でプレーできる可能性を問われ、「今は許可を待っている状況だ。オーストラリアにいる僕の弁護士を通して連絡を取り合っている。当局ともコンタクトを取っているみたいだ。出場できる流れになってきているとは感じる」と回答。その一方で「流れてくる情報は非公式のものだ」と懸念も拭えない様子だ。

 それでもやはりワクチン接種に対する消極的な姿勢は依然変わらないようだ。裁判にも至った年初の騒動を振り返り、改めて「僕の状況や境遇に関連して、誰もが異なる考え方を持っていることはわかっている。でも結局のところ、僕は誰も怒らせたことはないし、決して無礼なことをしようとしたこともない。僕は常に、誰もが選択の権利と自由を持つことが重要であるということを示そうとした」と発言。
 
 そのうえで過去9度の優勝を誇る全豪に人一倍強い思い入れを持つ男子テニス界のスーパースターは「今年起こったことは乗り越えたし、ただテニスがしたい。オーストラリアは、常に僕が最高のテニスができる場所だ。結果がそれを物語っている。今回は特に出場したい。ポジティブな答えを期待している。ただそれは僕の手には負えないことだから、オーストラリア政府の人たちが前向きな答えを出してくれることを願っている。それだけだよ」とのコメントを残した。

 実際のところ、ジョコビッチの豪州入国と全豪出場には光明が見え始めている。今年7月初旬には豪州国内の新型コロナ感染拡大防止プロトコルが緩和され、豪連邦政府が全ての渡航者に対するワクチン接種義務を廃止。これによりワクチン未接種者であっても特別な許可を得ることなく入国を認められることとなった。

 また豪州では今年5月末に政権が交代し、労働党党首であったアンソニー・アルバニージ氏が第31代首相に就任。以前英紙『Daily Mail』は「大のテニス好きとして知られるアルバニージ氏がジョコビッチの3年間にわたる入国禁止措置の停止を求めるべく、豪テニス連盟と緊密にコンタクトを取っている」と報じていた。

 ただ、「正しいことをして予防接種を受けたオーストラリアの人々に対する平手打ちだ」と述べたカレン・アンドリュース元内務大臣をはじめ、こうした状況を好ましく思っていない豪政府の重鎮も少なからずいるという。果たして最終的にどのような判断が下されるのか。今後の動向に注目が集まっている。

文●中村光佑

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