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国内テニス

全日本テニス選手権、今大会で引退の添田豪は伊藤竜馬に惜敗「本当に全てを出し切った。いいプレーができた」<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2022.10.28

伊藤(右)に敗れて現役最後の試合を終えた添田(左)。「悔いのない試合ができたと思う」とコメント。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

伊藤(右)に敗れて現役最後の試合を終えた添田(左)。「悔いのない試合ができたと思う」とコメント。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 テニスの日本チャンピオンを決める「大正製薬リポビタン 全日本テニス選手権97th」(10月22日~30日/有明コロシアムおよび有明インドアコート)。10月28日には女子シングルス準決勝、男子シングルス準々決勝などが行なわれた。

 男子準々決勝は、長年日本の男子テニス界を引っ張ってきた38歳の添田豪と34歳の伊藤竜馬の対決が実現。添田が今年の全日本を現役最後の舞台に選んだのを知り、伊藤も今大会への出場を決めた。そんな2人の思いが作用したのだろう、試合は稀に見る好ゲームとなった。

「最後なので全力でやるしかないと思い、お互いが引き出し合えて150%出せたんじゃないか」と伊藤が言えば、「本当に全てを出し切った。全体を通してすごくいいプレーができた」と添田は言う。その言葉通り、添田の正確なショットと、伊藤のパワーショットが真っ向からぶつかり合い、凄まじいラリーが展開された。

 今季、調子の上がらなかった伊藤だが、この日は強烈なサービスと持ち前の“ドラゴンショット”が厳しいコースに次々と決まる。一方の添田はそれをカウンターに取り、目の覚めるようなバックハンドのエースをダウンザラインに逆襲する。観客は見とれて、感嘆し、掛け値なしの“世界のテニス”に酔いしれた。

 どちらも引かず、第1セットも、第2セットもタイブレークに突入。勝敗を分けたのは紙一重の差だ。精度が生命線の添田は、自分から打っていける時は機械のようにコントロールするが、伊藤の強打に動かされるとわずかに精度が落ちる。2本のマッチポイントを凌いだ添田だが、最後は押されて得意のバックのストレートがネットした。
 
「やっとこれで終わったな」と今の気持ちを述べた添田。引退を決めた後も全日本に向けて練習を続けてきて「ここまで結構長かった。本当にこれで現役が終わって、喜びの方が強い」と安どの表情を浮かべた。

 伊藤は「(添田の現役を)終わらせるなら僕だろうという気持ちがあったから、最後押し切れた」と勝因を語る。何か、2人がネットを挟んで会話をしているような、味わいのある名勝負だった。

 もう1つ行なわれた準々決勝は、第4シードの関口周一が第7シードの川上倫平に3-6、7-5、6-2で逆転勝ち。よく粘っていた川上は第3セットに入ってミスが早くなったが、関口は「僕がプレッシャーをかけたからミスが出たのだと考えます」とポジティブに振り返った。

 関口のベスト4進出は4年ぶり4回目で、まだ決勝進出はない。「全日本はもちろん取りたいが、自分の納得できるプレーをしたい」という気持ちで伊藤との準決勝に臨む。

◆男子シングルス準々決勝の結果(10月28日)

関口周一(Team REC)④ 3-6 7-5 6-2 川上倫平(橋本総業ホールディングス)⑦ 
伊藤竜馬(橋本総業ホールディングス)⑫ 7-6(4) 7-6(5) 添田豪(GODAI)② 
※丸数字はシード

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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