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「もう世界1位を目指しているわけではない」復帰を目前に控えたナダルが戦い続ける理由を語る<SMASH>

中村光佑

2022.11.02

パリ大会でのツアー復帰を前に会見に応じたナダル。現在のモチベーションや、最近生まれた第1子について思いを語った。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月31日~11月6日/フランス・パリ/インドアハードコート/ATP1000)で約1か月ぶりの公式戦復帰を果たす元世界王者のラファエル・ナダル(スペイン)が、現地11月1日に会場での記者会見に登場。36歳にしてツアーを転戦し続けるなかで、「もう世界1位を目指しているわけではない」と発言した。

 9月下旬のレーバー・カップで現役を引退した盟友のロジャー・フェデラー(スイス)とペアを組んでダブルスに出場して以降、トーナメントではプレーしていなかったナダル。現地10月8日に報じられた妻のマリア・フランシスカ・ペレロさんの第1子(男児)出産に立ち会った彼は、その後も故郷マヨルカ島で自身が運営するテニスアカデミーにて練習を積んでいた。

 今年6月の全仏オープンで22度目のグランドスラム優勝を達成したナダルは現在、同郷のカルロス・アルカラス(19歳)に次いで世界ランキング2位に位置しており、今回のパリ・マスターズとすでに出場権を確保しているシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(11月13日~20日/イタリア・トリノ/ハードコート)の結果次第では、通算6度目となる年間1位も射程圏内だ。

 だが今回の会見で「一つだけはっきりさせておきたいことがある」と前置きしたナダルは「僕はもうナンバー1になるために戦っているわけではない」と発言。「長い間、世界1位になれるように戦ってきたし、それはすでに達成した。今は自分が出場する全ての大会で戦う力を発揮するためにプレーしている」と続けた。
 
 一方、数週間前に父親となったことについては「(時代的に)いつでもビデオチャットができるのはラッキーなことだよ」としつつも、家族を置いて大会に出場し続けることの難しさについても包み隠さずこう語った。

「正直に言うと、家を出たままにするのはいつも難しいことだと感じる。それに今はまた状況が違う。生後3週間の息子に会えないというのは、僕にとってはこれまでと異なる経験だ。それに順応しなければならない」

 そして会見の最後には、度重なるケガに見舞われながら数々の試練を乗り越えてきた今シーズンを振り返り、「結果的に素晴らしい1年だったのは事実だけど、同時にケガの面ではタフな1年だったのも事実だ」とコメントした。

 初優勝を目指すパリ大会に第2シードとして出場するナダルは、初戦の2回戦で世界31位のトミー・ポール(アメリカ)と対戦する。ブランクの影響は気になるところだが、どんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

文●中村光佑

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