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【テニスルール虎の巻】試合中にラケットが手から抜け落ちたら、どうなる?<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.11.22

プレー中にスルリと手から抜け落ちたラケット。こんな場面ではどんなルールが適用されるのか…。(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思う方もいるかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。テニス専門誌「スマッシュ」では、元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は「試合中にラケットが手から抜け落ちた場合」の判定について考えます。果たしてこのようなケースでは、どんなジャッジが下されるのか…。

 まず、手元からラケットが抜け落ちたとしてもポイントのやり直しはできません。プレー中にサングラスや帽子などの持ち物を落とした場合、相手がそれによって気が散るなど「プレーを妨害された」と判断すればレット(やり直し)をコールできます。

 しかしラケットを落とすことと、シューズが脱げることは、ルール上妨害に当たらないので、レットにはできません。ゆえに試合中にラケットを落としたら、すぐに拾って次のプレーに備えるほかはないです。
 
 ただし例外もあります。手から離れたラケットが相手に向かって飛んでいき「危ない」と思ってプレーを止めた時は、「プレーの妨害」を理由に相手はレットをコールできます。

 なお、インプレー中に手から離れたラケットが相手コートに落ちたり、ネットに当たった場合は失点となります(ポイントが決まった後なら問題なし)。

 また、届きそうにないボールにラケットを放り投げて当てようとする人がいますが、運よく返球できても手に持っていないラケットでの返球は無効です。打球時にラケットから手を離してはダメ。ただ、こちら側がチャンスボールをハードヒットした後にラケットを落としてしまったとします。この場合相手がボールを拾えなければ、ラケットが手になくてもポイントになります。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラムでは全豪オープン3回戦進出をはじめ全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF国際審判員、JTA公認審判員も務める。

※本文と掲載している写真は関係ありません。
※『スマッシュ』2020年10月号より抜粋・再編集

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