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国内テニス

世界へ出るための活動支援金を懸けた「Yoshi's Cup」。主催者・西岡良仁の想いはジュニアたちにどう響いたか?<SMASH>

内田暁

2022.12.17

「Yoshi's Cup」の前日セミナーで、プロになるための道筋を説く西岡良仁。彼にしか話せない現実が凝縮されていた。写真:Yoshi's Cup/長浜功明

「Yoshi's Cup」の前日セミナーで、プロになるための道筋を説く西岡良仁。彼にしか話せない現実が凝縮されていた。写真:Yoshi's Cup/長浜功明

「200万円獲得したら、何に使う?」

 西岡良仁はずばり、集った16歳以下のジュニア選手たちに尋ねた。

 12月17日~18日に開催される、西岡自らが企画・運営するジュニアテニス大会“Yoshi's Cup”。その前日に行われたセミナーで、西岡は参戦選手たちに「プロへの順路」を伝授していた。

 Yoshi's Cupは昨年、テレビ番組の『アスリートがクラウドファンディングを活用して夢にチャレンジする』という企画の一端として産声を上げた。西岡が望んだのは、世界に挑戦するジュニアたちを、経済面で直接的にサポートすること。そのためにテニス大会を開催し、優勝者および西岡の目に留まった選手1名に、活動支援金を与えることにした。

 同時に西岡は、同大会を継続的に開催することを、昨年の時点で想定していたという。そのためにスポンサーを集い、経費等を確保した。結果、昨年は100万円だった優勝者への活動支援金は、今年は200万円に上昇。50万円の“西岡賞”も、昨年から引き続き存在する。

 報奨金の用途は特定せず、報告義務を課すこともない。西岡が定めるルールはただ一つ。「自分が強くなるために使う」ことだ。
 
 そこで大きな意味を持つのが、大会前日に行なわれるセミナーである。西岡はこの席で、自身が15~16歳の時に何を思い、どのようなルートを辿って今いる地位……すなわち、世界の36位に至ったかを子細に教示した。

 15~16歳の時には、すでにプロも参戦する国際大会、通称“フューチャーズ”に参戦し始めたこと。その3年後にはATPチャレンジャーに主戦場のステージを上げ、そして20歳でATPツアーも回り始める。

 その過程で、いつ、どれくらいの経費が必要になるかなど、プロの世界のリアルも赤裸々に伝えていった。

 200万円を手にしたら、何に使うか?――西岡から投げられたその問いに、ほとんどのジュニア選手たちは「海外遠征費」と答える。その返答を聞き、西岡は言った。

「確かに海外に行くのは大切だが、行けば強くなるわけではない。勝つかどうかは一番重要だが、次に、負けた理由、そして勝った理由も分析することが大切」。つまりは「自分を知らなくてはいけない」のだと。
 
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