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全豪OPの予選1回戦を快勝した日本男子3選手。GS本戦経験がない綿貫と野口、実績を持つ杉田に“共通した姿”<SMASH>

内田暁

2023.01.11

全豪OP初戦を突破した綿貫陽介(中)。兄でコーチの敬介氏(右)、長田光生トレーナー(左)と。写真:内田暁

 勝利の瞬間の激しい叫び――。

 それが全豪オープンテニス初戦を突破した、3選手に共通した姿だった。

 24歳の綿貫陽介にとって、グランドスラム予選出場は、1年前の全豪OP以来。その後はランキングを落としたが、昨年の秋に連勝街道に突入した。横浜、神戸、そして四日市のATPチャレンジャーで決勝に勝ち上がり、そのうち2大会を制する。

 年が改まっても好調は続き、今季開幕戦のキャンベラ・チャレンジャーでベスト4に。勝利の快感を胸に宿したまま、綿貫はメルボルンに入っていた。

 好調の要因は、いくつかある。その最大因子を、綿貫本人は内面に求めた。

「気持ちの面がやはりすごく大きい。試合の中でも、沈む場面が減ってきていると思います」

 もともと「ネガティブな考えをしやすい」という彼が、試合の中でも「自分にストレスをかけることがなくなった」という。
 
 全豪予選の初戦でも、綿貫は19歳の地元オーストラリア選手相手に、成熟のプレーを見せる。相手がジャッジや自身のミスに苛立つなか、綿貫は冷静かつ闘志を前面に押し出したプレーに徹した。

 象徴的だったのは、第1セットの終了時。ベンチに戻ると淡々とルーティンをこなす綿貫に対し、相手はベンチでラケットを投げ、タオルも乱暴に投げ捨てた。

 精神的な乱れが隠せぬ19歳に対し、綿貫は第2セットに入ると一層プレーの精度を高める。"勢い"を実力に定着させつつある綿貫が、6-4、6-2で貫録勝ちした。

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 24歳になる野口莉央は、今大会がグランドスラム予選デビュー。昨年の夏はフューチャーズで4大会に優勝。10月の楽天オープンでは、予選を勝ち上がってATPツアーデビュー。約半年間でランキングを300位ほど駆け上がり、ついにグランドスラム予選の舞台にたどり着いた。

 高校時代にインターハイを制した野口だが、他にジュニア時代の目立った戦績はない。自ら「遅咲き」で「日本人の中でも小柄」と称する彼は、「心身の安定感」を武器とする。
 
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