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青山修子/柴原瑛菜が全豪2年連続ベスト4進出!お互い異なる道で磨きをかけた“成長した姿”<SMASH>

内田暁

2023.01.26

精緻な連携プレーで準々決勝を完勝した青山(右)/柴原(左)ペア。※写真は昨年大会のもの(C)Getty Images

 約1年ぶりのペア再結成も、この二人にとっては、さしたるブランクではなかったようだ。

 昨年の全豪オープン・ベスト4の後、二人はそれぞれ異なる道を進み始めた。

 青山はダブルスの頂点を目指してWTAツアーを回り、そして柴原は、シングルスの下部大会にも多く足を運ぶ。その間、二人は各々の課題克服に取り組み、武器に磨きもかけていった。青山にとって、それは「リターン」。そして柴原は、サーブと前衛での動きである。

 全豪オープン準々決勝の一戦は、それらお互いが成長した姿を披露する場になった。

 対戦相手のキャロライン・ドルハイド/アンナ・カリンスカヤ(アメリカ/ロシア)は、いずれもサーブが武器の選手。特にドルハイドは、キックサーブを得手とする。

 身長154cmの青山にとっては、それはことさら嫌なショット。だが、昨年の中頃から「脇をしっかり絞めて打つ」感覚を体得し、リターンに自信を深めた経験豊富なベテランはひるまない。

「私はやっぱり跳ねさせられると難しいので、なるべく肩より下で捉えるように工夫をした。それがうまくいっていたので相手のペースになることなく、リターンを打ったら前に出て、しっかりプレッシャーを掛けていくことができた」
 
 その青山のリターンに、柴原も前衛で呼応する。昨年は、エイジア・マホメド(アメリカ)など長身で、ストロークを得手とする選手と多く組んできた柴原。「前で頑張ってきた」というその経験が、鋭さを増した青山のストロークのおかげで、より生きているのだろう。

 この日の試合では、先にブレークを許すが、二人は慌てない。直後のゲームをブレークすると、4ゲーム連取で一気に主導権を握った。

 一度手にした流れを逃すことなく、潮目を読みつつ決めるべきところで決められるのは、大舞台を幾度も踏んできたこの二人の強みである。

 第2セットは立ち上がりのゲームでブレークすると、以降は確実にサービスゲームをキープ。終わってみれば、貫録すら漂わせる6-3、6-3の完勝だ。

 グランドスラムのベスト4は大舞台ではあるものの、既にこの地点に到達済みの二人は、そのさらに先を目指す。

 なお、二人が揃って「現在一番強く、対戦したいと思っているペア」は、バルボア・クレイチコワ/カテリナ・シニアコワ(チェコ)。そのペアと戦うには、決勝に行くしかない。

 その前に立ちはだかる、コリ・ガウフ/ジェシカ・ペグラ(アメリカ)。単複両方で活躍する強者の壁を、精緻な連携で崩しにいく。

現地取材・文●内田暁

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