テニスボールはラケットを使って打ちます。けれどもボールと直接触れるのは、ラケットフレームに張られている「ストリング（糸）」です。そのため自分のラケットに張られているストリングのことを知ることは、テニスの出来を左右するとても大切なことなのです。

　知っているようで、あまり知られていないストリングのこと。そこでストリングに関する素朴な疑問をプロのストリンガー（ストリングを張る人）にぶつけてみました。

　今回のテーマは「ナチュラルガットの取り扱い」についてです。天然繊維（牛の腸）を原料とするナチュラルガットは、究極のストリングと呼ばれるほど高い性能を誇りますが、そのぶん価格もアップする高級品です。

　テニスプレーヤーなら一度は使ってみたいナチュラルガットですが、使用する際はどんな点に注意すればいいのでしょうか。プロストリンガーに訊きました。

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　初めて、ナチュラルストリングに挑戦する場合、次の３点に注意してください。

　まず１つ目は、テンションの設定です。現在、使用しているストリングの特徴や性質を考えた上でテンションを決める必要があります。

　ナチュラルはボールを飛ばしやすいナイロン素材のガットより、反発力が強く、打球感は柔らかいです。普段、使用しているストリングのプラス５～10パーセントを目安に張ることをお勧めします。
  　２つ目はストリングの比重です。ナチュラルは他のストリングよりも比重が重いです。ナイロンストリングが約15グラムに対して、ナチュラルは約18グラムと約３グラム重くなるため、ラケットのトップも少し重くなります。

　重さが気にならなければパワーアップに繋がるのでメリットにもなるのですが、少しでも軽い方が良い方はゲージ（ストリングの太さ）の細い１・25ゲージを選ぶと重さを軽減できます。

　そして３つ目は保管方法です。ナチュラルは雨や湿気に非常に弱いストリングです。そのため、保管方法には慎重にならなければいけません。ラケットビニールに乾燥剤を入れて保管する事でストリングを長持ちさせることができます。

　ナチュラルは張り手の技術も必要になってくるため、信頼できるショップに相談することをお勧めします。

解説●野口大貴（テニスサポートセンター）
取材協力●テニスサポートセンター

構成●スマッシュ編集部
※2022年３月号より抜粋・再編集

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