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【伊達公子】海外遠征では負けた場合を想定して移動の準備。どの飛行機にするのかが悩みどころ<SMASH>

伊達公子

2023.03.03

テニス選手は飛行機のチェックインの時にも戦いがあると言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 テニス選手にとって遠征は日常ですが、大変な部分もあります。テニスをプレーする以外で、選手が直面する苦労する点は何だと思いますか?

 最初に挙げられるのは「移動」です。乗り継ぎがうまくいかなかったり、ヨーロッパだとストライキもあり、移動のトラブルには見舞われます。テニス選手特有という点でいえば、試合に負けたら移動になるため、スケジュールがギリギリまで決まらないことです。

 大会のオフィシャルホテルは、負けた日の夜までは無料で泊まれますが、次に移動する場所や状況によっては、負けた日に出発した方がいい場合もあります。そのため、負けた場合を想定して、事前に飛行機を調べています。

 ルート、時間、乗り継ぎの仕方、値段、空席状況、マイルが貯まるのかなど、どの飛行機での移動がいいのか、大会中は毎日チェックし続ける状態です。私はマネージャーに助けてもらっていましたが、全て自分で手配しなくてはいけない選手は、かなり大変だと思います。

 当然ながら変更可能なチケットを購入するので、金額は高くなりますが、それはもう仕方ありません。航空会社とスポンサー契約ができるのは選手にとって助けになります。それでもルートによって、他の航空会社で良いアクセスで早く行ける飛行機があると、どっちにするべきかとチームで議論になります。
 
 飛行機の搭乗手続きでは、荷物バトルが待っています。テニス選手は荷物が多いので、超過料金の対象になりやすいのです。遠征に行き始めた頃、どんなに交渉してもダメで超過料金を払ったことがありました。でも、到着して荷物を待っている所で、同じ飛行機に乗っているのに、何人かは払い、何人かは払っていないことがわかりました。つまり、払わずに済む方法があるわけです。

 基本的には重量に厳しい航空会社には、なるべく乗らないようにしていました。他にも私がチェックインに行く時は男性のところ、男性コーチが行く時は女性のところにしていました。同性だと厳しい対応になりやすい気がします。テニス好きのスタッフだった時、持っていた使用球をあげたら態度がマイルドになったこともありましたね(笑)。

 このようにテニス選手は、スムーズに無駄なく移動できるように、色々と工夫しながら多くの時間を費やして、世界中を回っているのです。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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