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海外テニス

「強い人間」を指標するダニエル太郎が元世界6位のベレッティー二に勝利し3回戦へ!<SMASH>

内田暁

2023.03.12

第2セットで実力差を感じていたダニエル太郎だが、ルード戦での経験を活かし再び大金星を挙げた。(C)Getty Images

第2セットで実力差を感じていたダニエル太郎だが、ルード戦での経験を活かし再び大金星を挙げた。(C)Getty Images

 力を出し切り競り勝った第1セットの後、第2セットは1ゲームも取れずに奪い返される。

 相手は現在男子テニス世界ランキング23位で、最高6位の実力者。心が折れても不思議ではない局面だ。実際に本人も、「あそこでトップの実力を見せつけられた」と感じたことを認める。ただ同時に彼の中では、「あの時と似た展開だ」という、既視感に似た心身の記憶があった。

 それはわずか10日前——。世界4位のキャスパー・ルードとの熱戦。

「第1セットはバトルで、第2セットでは相手がレベルを上げてくる。それでも第3セットは相手を上回るようなプレーができた」

 その末に勝利をつかんだルード戦の経験が、彼に自分を信じる力を与えていた。最終セットは第2ゲームをブレークし、3ゲーム連取のスタートダッシュ。この差を最後まで守り、彼はフィニッシュラインまで走りきった。

 BNPパリバ・オープン(ATPマスターズ1000)2回戦。マテオ・ベレッティーニを7-6,0-6,6-3で破ったダニエル太郎は、勝利のサービスウイナーを決めると、ラケットをその場に落とし、湧き上がる大歓声に両手を突き上げて応えた。
 
「目標は、強い人間になること」

 今大会の予選2試合を勝ち抜き本戦の切符を手にした時、ダニエルは目指す地点をそう述べた。

 “強い選手”ではなく「人間」と表したのは、コート内外を問わず「自分の感情に逃げずに向きあう」ことを標榜するからだ。

「先週のルードとの試合でも今回でも、第2セットを落とした時に『差があるんだな』と感じてがっかりしたりもする。ただ、第三者的に客観視すれば、それが本当の自分の力ではないことに気付けるかもしれない。自分の底力を信じられるか……それはトレーニングしなければできないことだし、そういう経験を積んできた」

 0-6という第2セットのスコアにも、ダニエルは、それを実力差とは捉えなかった。
同時に、全豪オープンの初戦で2セットアップから逆転負けを喫しているベレッティーニが、「不安を抱えている」とも感じていたという。
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