力を出し切り競り勝った第1セットの後、第2セットは1ゲームも取れずに奪い返される。
相手は現在男子テニス世界ランキング23位で、最高6位の実力者。心が折れても不思議ではない局面だ。実際に本人も、「あそこでトップの実力を見せつけられた」と感じたことを認める。ただ同時に彼の中では、「あの時と似た展開だ」という、既視感に似た心身の記憶があった。
それはわずか10日前——。世界4位のキャスパー・ルードとの熱戦。
「第1セットはバトルで、第2セットでは相手がレベルを上げてくる。それでも第3セットは相手を上回るようなプレーができた」
その末に勝利をつかんだルード戦の経験が、彼に自分を信じる力を与えていた。最終セットは第2ゲームをブレークし、3ゲーム連取のスタートダッシュ。この差を最後まで守り、彼はフィニッシュラインまで走りきった。
BNPパリバ・オープン(ATPマスターズ1000)2回戦。マテオ・ベレッティーニを7-6,0-6,6-3で破ったダニエル太郎は、勝利のサービスウイナーを決めると、ラケットをその場に落とし、湧き上がる大歓声に両手を突き上げて応えた。
「目標は、強い人間になること」
今大会の予選2試合を勝ち抜き本戦の切符を手にした時、ダニエルは目指す地点をそう述べた。
"強い選手"ではなく「人間」と表したのは、コート内外を問わず「自分の感情に逃げずに向きあう」ことを標榜するからだ。
「先週のルードとの試合でも今回でも、第2セットを落とした時に『差があるんだな』と感じてがっかりしたりもする。ただ、第三者的に客観視すれば、それが本当の自分の力ではないことに気付けるかもしれない。自分の底力を信じられるか……それはトレーニングしなければできないことだし、そういう経験を積んできた」
0-6という第2セットのスコアにも、ダニエルは、それを実力差とは捉えなかった。
同時に、全豪オープンの初戦で2セットアップから逆転負けを喫しているベレッティーニが、「不安を抱えている」とも感じていたという。
相手は現在男子テニス世界ランキング23位で、最高6位の実力者。心が折れても不思議ではない局面だ。実際に本人も、「あそこでトップの実力を見せつけられた」と感じたことを認める。ただ同時に彼の中では、「あの時と似た展開だ」という、既視感に似た心身の記憶があった。
それはわずか10日前——。世界4位のキャスパー・ルードとの熱戦。
「第1セットはバトルで、第2セットでは相手がレベルを上げてくる。それでも第3セットは相手を上回るようなプレーができた」
その末に勝利をつかんだルード戦の経験が、彼に自分を信じる力を与えていた。最終セットは第2ゲームをブレークし、3ゲーム連取のスタートダッシュ。この差を最後まで守り、彼はフィニッシュラインまで走りきった。
BNPパリバ・オープン(ATPマスターズ1000)2回戦。マテオ・ベレッティーニを7-6,0-6,6-3で破ったダニエル太郎は、勝利のサービスウイナーを決めると、ラケットをその場に落とし、湧き上がる大歓声に両手を突き上げて応えた。
「目標は、強い人間になること」
今大会の予選2試合を勝ち抜き本戦の切符を手にした時、ダニエルは目指す地点をそう述べた。
"強い選手"ではなく「人間」と表したのは、コート内外を問わず「自分の感情に逃げずに向きあう」ことを標榜するからだ。
「先週のルードとの試合でも今回でも、第2セットを落とした時に『差があるんだな』と感じてがっかりしたりもする。ただ、第三者的に客観視すれば、それが本当の自分の力ではないことに気付けるかもしれない。自分の底力を信じられるか……それはトレーニングしなければできないことだし、そういう経験を積んできた」
0-6という第2セットのスコアにも、ダニエルは、それを実力差とは捉えなかった。
同時に、全豪オープンの初戦で2セットアップから逆転負けを喫しているベレッティーニが、「不安を抱えている」とも感じていたという。