2020年の全米オープンで悲願のグランドスラム初優勝を果たした男子テニス元世界ランク3位のドミニク・ティーム(オーストリア/現106位)が苦境に立たされている。
昨年3月に右手首のケガから約9カ月ぶりのツアー復帰を果たした彼は同年末にかけて調子を上げ、上位に進出する大会も徐々に増えていた。ところが新シーズンに入ってからはわずか1勝しか挙げることができておらず、持ち味の力強いテニスも鳴りを潜めている。
そんななかで本戦ワイルドカード(主催者推薦)を獲得した先週の「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ/ATP1000)は、1回戦でアドリアン・マナリノ(フランス/62位)に6-4、4-6、6-7(5)と競り合いながらも逆転負け。
同じくワイルドカードで参戦した現在開催中の「マイアミ・オープン」(3月22日~4月3日/アメリカ・マイアミ/ハードコート/ATP1000)でも、現地3月23日に実施された1回戦でロレンツォ・ソネゴ(イタリア/59位)に6-7(7)、2-6のストレート負けを喫した。これでティームは先月のリオ・オープン(ATP500)から、4大会連続で初戦敗退となってしまった。
待望のカムバックを果たして以降、たゆまぬ努力を続けてきた29歳が口にした「自信のなさもあり、それを取り戻さなければならない」という言葉は、今のティームの苦しい状況を明確に表していると言えるだろう。ソネゴとのマイアミ初戦で敗退が決まった直後には自身のベンチでがっくりとうなだれた場面が中継カメラで映し出され、SNSでは激励の声が続々と上がった。
そして試合後の会見では接戦の末にタイブレークを落とした第1セットを「タフだった」と振り返り、大差がついた第2セットについては「残念ながらタイブレークの後、ほんの少しの間緊張感を失ってしまい、(第1ゲームから)4ゲームを連取されてしまった」とコメント。「集中力がわずかに低下したことや、気持ちが落ちてしまったことが、第2セットを失った理由だ」と続けた。
なかなかトンネルを抜け出せないティームは、現時点で4月3日から開催される「エストリル・オープン」(ポルトガル・エストリル/ATP250)で欧州のクレーシーズン初戦を迎える予定だが、同大会出場後は自信を取り戻すために「いくつかのチャレンジャー大会(下部大会)に出るつもりだ」と明かしている。
以前の強いティームが見られるまでには時間がかかるかもしれないが、ファンの声援を背に一歩ずつ完全復活への歩みを進めていってほしいものだ。
文●中村光佑
【連続写真】足の力を存分に活用する、ティームのスピンサービス
昨年3月に右手首のケガから約9カ月ぶりのツアー復帰を果たした彼は同年末にかけて調子を上げ、上位に進出する大会も徐々に増えていた。ところが新シーズンに入ってからはわずか1勝しか挙げることができておらず、持ち味の力強いテニスも鳴りを潜めている。
そんななかで本戦ワイルドカード(主催者推薦)を獲得した先週の「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ/ATP1000)は、1回戦でアドリアン・マナリノ(フランス/62位)に6-4、4-6、6-7(5)と競り合いながらも逆転負け。
同じくワイルドカードで参戦した現在開催中の「マイアミ・オープン」(3月22日~4月3日/アメリカ・マイアミ/ハードコート/ATP1000)でも、現地3月23日に実施された1回戦でロレンツォ・ソネゴ(イタリア/59位)に6-7(7)、2-6のストレート負けを喫した。これでティームは先月のリオ・オープン(ATP500)から、4大会連続で初戦敗退となってしまった。
待望のカムバックを果たして以降、たゆまぬ努力を続けてきた29歳が口にした「自信のなさもあり、それを取り戻さなければならない」という言葉は、今のティームの苦しい状況を明確に表していると言えるだろう。ソネゴとのマイアミ初戦で敗退が決まった直後には自身のベンチでがっくりとうなだれた場面が中継カメラで映し出され、SNSでは激励の声が続々と上がった。
そして試合後の会見では接戦の末にタイブレークを落とした第1セットを「タフだった」と振り返り、大差がついた第2セットについては「残念ながらタイブレークの後、ほんの少しの間緊張感を失ってしまい、(第1ゲームから)4ゲームを連取されてしまった」とコメント。「集中力がわずかに低下したことや、気持ちが落ちてしまったことが、第2セットを失った理由だ」と続けた。
なかなかトンネルを抜け出せないティームは、現時点で4月3日から開催される「エストリル・オープン」(ポルトガル・エストリル/ATP250)で欧州のクレーシーズン初戦を迎える予定だが、同大会出場後は自信を取り戻すために「いくつかのチャレンジャー大会(下部大会)に出るつもりだ」と明かしている。
以前の強いティームが見られるまでには時間がかかるかもしれないが、ファンの声援を背に一歩ずつ完全復活への歩みを進めていってほしいものだ。
文●中村光佑
【連続写真】足の力を存分に活用する、ティームのスピンサービス