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海外テニス

世界54位のグラチェワがロシアからフランスに国籍変更へ。ロシア連盟は「大きな損失ではない」と冷ややか<SMASH>

中村光佑

2023.03.29

フランスへの国籍変更手続きが最終段階に入ったとされるグラチェワ。今回の決断はロシアのウクライナ侵攻とは「無関係」だとしている。(C)Getty Images

フランスへの国籍変更手続きが最終段階に入ったとされるグラチェワ。今回の決断はロシアのウクライナ侵攻とは「無関係」だとしている。(C)Getty Images

 女子テニス世界ランク54位でロシア国籍のバルバラ・グラチェワ(22歳)が、フランスへの国籍変更手続きを進めていることが明らかになった。フランスのスポーツメディア『RMC Sport』など複数の海外メディアが報じている。

 同メディアによるとグラチェワは昨年11月に国籍変更のために必要なフランス語の試験に合格。すでに各種申請書も仏政府の内務省に送付し、国籍変更手続きの最終段階に入っているという。近いうちに最終決定が下される見込みだが、具体的にそれがいつになるのかはまだわかっていない。

 実はグラチェワは2016年からフランス南東部の都市カンヌを練習拠点としており、同国に約7年定住している。テニス系海外メディア『UBITENNIS』によると、国籍変更を決断した経緯について彼女は、未だ収束の見通しが立たない母国のウクライナ侵攻とは「無関係である」としており、「以前からフランスの市民権申請を考えていた」と説明している。

 22歳とまだ若いグラチェワはツアータイトルを獲得したことはないものの、今シーズンに入ってからはダリア・カサキナ(ロシア/8位)やオンス・ジャブール(チュニジア/5位)といったトップ10選手からも勝利を挙げるなど、大きな飛躍を遂げている。

 また3月初旬に出場した「ATXオープン」(アメリカ・オースティン/ハードコート/WTA250)ではツアー初の決勝に進出。マルタ・コスチュク(ウクライナ/現38位)にストレートで敗れるも準優勝を収め、今月20日に更新された世界ランキングではキャリアハイの54位を記録した。さらには現在開催中の「マイアミ・オープン」(3月21日~4月2日/ハードコート)でも、四大大会に次ぐWTA1000大会で初となるベスト16入りを果たした。
 
 抜群のポテンシャルで今後のさらなる活躍に期待を寄せられているグラチェワを失うのは、ロシアテニス界にとっても大きな痛手となるはずだ。ところがロシアテニス連盟のシャミル・タルピシェフ会長はこのほど応じた同国のスポーツメディア『RBC-Sport』の取材で、「選手層が厚いから、彼女が国籍を変更しても連盟にとって大きな損失にはならないだろう」と冷ややかにコメントした。

 その後同会長は「グラチェワの国籍変更については情報がないので、何もコメントはできない」としつつも、改めて「いずれにせよ、我々にとって大きな損失にはならない」と強調。「ロシアテニス界には才能ある選手が数多くいる。我々は次世代の選手の育成に取り組んでいる」と締めくくった。

 なお一連の報道についてグラチェワはまだコメントを出していない。フランス国籍を無事取得することはできるのか、続報を待ちたいところだ。

文●中村光佑

【PHOTO】グラチェワはじめ全仏オープン2021で活躍した女子選手たち!
 

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