海外テニス

マスーと別れたティームがケルバーの元コーチを招聘「僕には時間がないし、試してみることにした」<SMASH>

中村光佑

2023.04.12

復活を期すティーム(左)は、「すぐにでもコーチが必要だった」として、かつてケルバーらを指導したエブラヒムザデ氏(右)を招聘した。(C)Getty Images

 ここ何か月もジェットコースターのような時期を過ごしてきた29歳の名手が新たな一歩を踏み出した。

 現地4月8日に自身のSNSを通じて、約4年間にわたり苦楽を共にしてきたニコラス・マスー氏(チリ/43歳)との師弟関係解消を発表した元世界ランク3位のドミニク・ティーム(オーストリア/現106位)が、早くも新しいコーチをチームに迎え入れたようだ。

 テニス系海外メディア『UBITENNIS』によると、このほどティームは過去に元世界女王のアンジェリーク・ケルバー(ドイツ/現140位)や元11位のアリゼ・コルネ(フランス/現70位)を指導した経験を持ち、現在は欧米メディア『Eurosport』でテニス解説者も務めるベンジャミン・エブラヒムザデ氏(ドイツ/元シングルス512位)を招聘したという。

『UBITENNIS』に掲載されたコメントを通じて、ティームは初めにマスー氏と歩んできたかけがえのない日々をこう振り返っている。

「ニコと過ごした素晴らしい4年間、素晴らしい旅は、全て僕の心に留めておきたいものだ。その旅の中で僕が抱いた感情や考えはポジティブなものばかりだった。実を言うと、彼との関係が終わった後に初めて信じられないような大きな成功を収めたことに気付いた。だから、そういった思い出は全て僕の心に残っているよ」
 
 続けて「今は、彼(マスー氏)にとっても、僕にとっても、新しい章を迎える時だ。できる限り良いものにするために決断した」と述べたティームは、エブラヒムザデ氏と試験的にタッグを結成することになった経緯について以下のように簡潔に説明した。

「ベニー(エブラヒムザデ氏の愛称)とは、いつもちょっとしたことで連絡を取り合っていたような関係だった。僕たちはお互いを知っていた。今、僕には時間がないし、すぐにでもコーチが必要だったから、試してみることにした」

 昨年3月に右手首のケガから約9か月ぶりのツアー復帰を果たして以降、受難の日々を過ごしているティームは、今季も2月の「リオ・オープン」(ATP500)から4大会連続で初戦敗退を喫すなど、なかなか勝ちに恵まれない日々が続いている。

 それでもクレーシーズンに入ってからは先週の「エストリル・オープン」(ATP250)でベスト8に進出。現在開催中の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月9日~16日/モナコ・モンテカルロ/ATP1000)でも、現地4月10日に行なわれたリシャール・ガスケ(フランス/43位)との1回戦を6-1、6-4のストレートで突破し、約2年ぶりとなるマスターズでの勝利を飾った。

 とはいえ以前のティームと比べると、まだまだ本来の強さを取り戻しているとは言い難いのは事実だ。エブラヒムザデ氏のサポートを背に、得意のクレーシーズンで調子を上げていけるか注目したい。

文●中村光佑

【PHOTO】強じんな下半身でパワーを生み出す、D・ティームのサービス連続写真
 
NEXT
PAGE
【動画】ティームがガスケを破り約2年ぶりのマスターズ勝利を飾ったモンテカルロ大会1回戦ハイライト