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海外テニス

マスターズの規模拡大にマリーとメドベージェフが私見「選手の負担が増えてしまうのでは?」<SMASH>

中村光佑

2023.04.30

今年から「マドリード・オープン」、「イタリア国際」の大会期間とドロー数を拡大していることについて、マリー(左)とメドベージェフ(右)が意見を述べた。(C)Getty Images

今年から「マドリード・オープン」、「イタリア国際」の大会期間とドロー数を拡大していることについて、マリー(左)とメドベージェフ(右)が意見を述べた。(C)Getty Images

 男子テニスを統括するATP(男子プロテニス協会)は、プロテニスを新たな高みに導くことを目標に掲げる「One Visionプロジェクト」の一環で、2023年シーズンから「マドリード・オープン」(4月26日~5月7日/スペイン・マドリード/クレーコート/ATP1000)と「イタリア国際」(5月10日~21日/イタリア・ローマ/クレーコート/ATP1000)のマスターズ2大会の大会期間及びドロー数を、従来の8日間・56ドローから12日間・96ドローに拡大している。

 ちなみにこのフォーマットは、すでに春の米国マスターズ(インディアンウェルズとマイアミ)で導入されているため、男子選手にとっては慣れたものではないかと思ってしまうかもしれない。

 だが、スペインのテニス専門メディア『Punto de Break』によると、クレーシーズンのマスターズでも新たに2週間のスケジュールが採用されたことには、一部選手から反対の声が上がっているという。そのうちの一人が現在開催中の「マドリード・オープン」で初戦敗退を喫した元世界王者のアンディ・マリー(イギリス/現52位)だ。

 1回戦終了後の記者会見でマリーは「新しいことを試して、それがATPや選手にとってどうなるかを見ていくことは賛成だ。12日間のフォーマットも数年後くらいに男子ツアーにとって有益かどうかがわかるだろう」と前置きしつつ、「選手の負担が増えてしまうのではないか」と自身の考えを主張。さらにこう続けた。
 
「僕がこれらのトーナメント(マスターズ)でとてもうまくいっていた頃を思い出すと、トッププレーヤーたちは大会開幕前の木曜日や金曜日に到着し、ここ(マドリード)に到着してからローマ決勝まで計2週間半の期間を戦い抜くという形だった。だがそれが今ではマドリードとローマを合わせて4週間になっている。選手にとってはかなり長期間になるし、大きな変化だ。色々な面で、オフ(リフレッシュ)の時間が短くなってしまうと思う」

「テニスのシーズンがとても長いという意見はここ数年、多くの選手から聞いている。僕は、このフォーマットが必ずしもスケジュールを短縮することにつながるとは思えない。トーナメントの期間が少しばかり長くなるだけだ。現時点では、(どんな効果があるのかは)よくわからないよ」

 一方、マドリードで3回戦に進出した世界3位のダニール・メドベージェフ(ロシア)は、マスターズの規模拡大を「とても良いことだと思う」と歓迎している。現地29日に行なわれたアンドレア・ババソリ(イタリア/164位)との2回戦に勝利したメドベージェフは、試合後のインタビューで次のようなコメントを残した。

「マドリードやローマは、新フォーマットが導入された最初の年ということもあって努力をしなければならないが、例えばここマドリードでは、選手のためにレストランが新しく作られた。

 懸念されていた選手のための(憩いの)スペースの不足は見られない。試合数は増えたが、テニスにとっては良いことだと思う。世界ランキングにも変化をもたらすだろう。全体として、この件について自分の意見を100パーセント持っているわけではないが、良いことだと思う」

 海外メディア『UBITENNIS』によれば、現時点ではマドリードとローマに加え、今年9月に行なわれる「上海・マスターズ」でも新たに12日間・96ドローのフォーマットが導入される予定だ。また25年シーズンからは「カナダ・マスターズ」と「シンシナティ・マスターズ」(アメリカ)でも同じ形で規模が拡大される見込みとなっている。

文●中村光佑

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