テニスの四大大会「全仏オープン」は大会最終日の現地6月11日に男子シングルス決勝を実施。第3シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク3位)が、第4シードのキャスパー・ルード(ノルウェー/同4位)を7-6(1)、6-3、7-5のストレートで下し、同大会2年ぶり3度目の優勝を飾った。
右ヒジの古傷が再発し、クレーシーズンに入ってからは苦戦が続いていたジョコビッチ。今回の全仏では同箇所の状態が懸念されていた中で持ち前の粘り強さを発揮してしっかりと勝ち上がってきた。"事実上の決勝戦"と称されたカルロス・アルカラス(スペイン/20歳/世界ランク1位)との準決勝でも終始安定したプレーを披露し、6-3、5-7、6-1、 6-1で勝利。キャリア3度目の全仏制覇に王手を掛けていた。
この日の決勝戦は、同大会2年連続の決勝に駒を進めたルードを相手になかなか主導権を握れない苦しい展開となる。立ち上がりのジョコビッチは、ルードの強烈なトップスピンの効いたストロークにうまく対応できずミスを連発。得意のフォアハンドのカウンターも鳴りを潜め、序盤の第2ゲームで先にブレークを献上してしまう。
それでも徐々にリズムをつかみ始めた中で迎えた第7ゲーム、今度はルードが簡単なミスを重ねてブレークバックに成功すると、以降は互いに一歩も譲らずタイブレークに突入。ここでは集中力を高めて一気にギアを上げたジョコビッチが相手に1ポイントしか与えない完璧なプレーを見せ、81分にも及ぶ大接戦の末に第1セットを先取する。
これで勢いに乗ったジョコビッチは、第2セットに入ってから正確なリターンで流れをつかみ、第2ゲームでブレークに成功。それ以降はリターンゲームでブレークチャンスを生かせないもどかしい展開が続くも、ストローク戦では抜群の予測能力でルードの配球を読み切る場面が増え、攻撃的なショットも交えてポイントを量産。ファーストサービスが入った時のポイント獲得率が88パーセントを記録するなど、安定した試合運びでリードを保って優勝に王手を掛ける。
迎えた第3セットは、劣勢に立たされたルードも粘りのプレーを見せたことにより、緊迫したシーソーゲームとなるも、経験豊富なジョコビッチに動揺はなかった。0-30とポイントを先行されたところから第8ゲームを何とかキープすると、第11ゲームではフォアハンドのアングルショットを軸にブレークポイントを握り、最後は18本のロングラリーを制して値千金のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第12ゲームも難なくキープし、3時間を超える熱戦に終止符を打った。
この結果ジョコビッチは男子選手で史上最多となる四大大会23度目の優勝を達成。長年ともにATPツアーをけん引してきた宿命のライバル、ラファエル・ナダル(スペイン/現15位)の22回を抜いて単独トップに立った。またしても男子テニス界に新たな歴史の1ページを刻み込んだ36歳の鉄人は、試合後の表彰式で喜びと会場のファンへの感謝の言葉を口にした。
「今はとても感慨深いです。この優勝は自分にとって大きな意味があります。この大会(全仏)では、コート内外でたくさんのことを経験してきました。この特別なコートに立てたことを光栄に思います。今日の試合と大会期間中に観客の皆さんが送ってくれたエネルギーに感謝しています」
再び金字塔を打ち立てるとともに、クレーシーズンを最高の形で締めくくったジョコビッチ。休む間もなく始まる芝シーズンでもさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
【PHOTO】ジョコビッチら全仏オープン2023で奮闘する男子選手たちの厳選写真!
右ヒジの古傷が再発し、クレーシーズンに入ってからは苦戦が続いていたジョコビッチ。今回の全仏では同箇所の状態が懸念されていた中で持ち前の粘り強さを発揮してしっかりと勝ち上がってきた。"事実上の決勝戦"と称されたカルロス・アルカラス(スペイン/20歳/世界ランク1位)との準決勝でも終始安定したプレーを披露し、6-3、5-7、6-1、 6-1で勝利。キャリア3度目の全仏制覇に王手を掛けていた。
この日の決勝戦は、同大会2年連続の決勝に駒を進めたルードを相手になかなか主導権を握れない苦しい展開となる。立ち上がりのジョコビッチは、ルードの強烈なトップスピンの効いたストロークにうまく対応できずミスを連発。得意のフォアハンドのカウンターも鳴りを潜め、序盤の第2ゲームで先にブレークを献上してしまう。
それでも徐々にリズムをつかみ始めた中で迎えた第7ゲーム、今度はルードが簡単なミスを重ねてブレークバックに成功すると、以降は互いに一歩も譲らずタイブレークに突入。ここでは集中力を高めて一気にギアを上げたジョコビッチが相手に1ポイントしか与えない完璧なプレーを見せ、81分にも及ぶ大接戦の末に第1セットを先取する。
これで勢いに乗ったジョコビッチは、第2セットに入ってから正確なリターンで流れをつかみ、第2ゲームでブレークに成功。それ以降はリターンゲームでブレークチャンスを生かせないもどかしい展開が続くも、ストローク戦では抜群の予測能力でルードの配球を読み切る場面が増え、攻撃的なショットも交えてポイントを量産。ファーストサービスが入った時のポイント獲得率が88パーセントを記録するなど、安定した試合運びでリードを保って優勝に王手を掛ける。
迎えた第3セットは、劣勢に立たされたルードも粘りのプレーを見せたことにより、緊迫したシーソーゲームとなるも、経験豊富なジョコビッチに動揺はなかった。0-30とポイントを先行されたところから第8ゲームを何とかキープすると、第11ゲームではフォアハンドのアングルショットを軸にブレークポイントを握り、最後は18本のロングラリーを制して値千金のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第12ゲームも難なくキープし、3時間を超える熱戦に終止符を打った。
この結果ジョコビッチは男子選手で史上最多となる四大大会23度目の優勝を達成。長年ともにATPツアーをけん引してきた宿命のライバル、ラファエル・ナダル(スペイン/現15位)の22回を抜いて単独トップに立った。またしても男子テニス界に新たな歴史の1ページを刻み込んだ36歳の鉄人は、試合後の表彰式で喜びと会場のファンへの感謝の言葉を口にした。
「今はとても感慨深いです。この優勝は自分にとって大きな意味があります。この大会(全仏)では、コート内外でたくさんのことを経験してきました。この特別なコートに立てたことを光栄に思います。今日の試合と大会期間中に観客の皆さんが送ってくれたエネルギーに感謝しています」
再び金字塔を打ち立てるとともに、クレーシーズンを最高の形で締めくくったジョコビッチ。休む間もなく始まる芝シーズンでもさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
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