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海外テニス

全米初戦敗退のダニエル太郎が女子ベテラン選手の言葉に共鳴「テニスやっていて『良いな』と思えることをやっていきたい」<SMASH>

内田暁

2023.08.31

予選を3試合勝ち抜いてきたダニエルだったが、好調のモンフィスに熱戦の末敗退。(C)Getty Images

予選を3試合勝ち抜いてきたダニエルだったが、好調のモンフィスに熱戦の末敗退。(C)Getty Images

 2800人を収容する17番コートの外郭を、溢れた人たちの長い列が取り囲んだ。客席から幾度も湧き上がる大歓声が、さらなる観客を引き寄せていく。

 テニスコートでプレーする二人の選手は、方や世界の162位で、方や予選上がりの95位。その机上の数字だけを見れば、あるいは魅力的なカードと思えないかもしれない。

 だがその一人が、あのガエル・モンフィスとなれば話は別。そして対戦相手は、ツアー優勝の経験もあり、生誕地であるニューヨークでは知名度も人気も高いダニエル太郎。照明の下で繰り広げられるのは、時速200キロ超えのサーブを連発する二人の長身プレーヤーが、大きなストライドでコートを駆け、ドロップショットを沈め、スローモーションのようなロブを決めたかと思えば、豪快なジャンピングスマッシュを叩き込む大迫力のつば迫り合い。

 長い打ち合いを制する度、両選手ともに両手を振り上げ、観客の声援を煽る。娯楽や刺激への感度の高いニューヨークのファンも、拳を突き上げ呼応する。全米オープン・ナイトマッチ特有の、ポジティブな熱狂がそこにはあった。
 
 その熱戦は結果から言えば、モンフィスが4-6、6-4、6-2、7-6(4)で勝利する。先の全仏オープンで手首を痛めたモンフィスだが、北米ハードコートシーズンでの復帰以降は、往時を彷彿させるパフォーマンスを披露してきた。トロントのマスターズ1000ではステファノス・チチパス(当時4位)を破り、同じくマスターズのシンシナティでは、キャメロン・ノーリー(同15位)とアレックス・デミノー(同12位)を立て続けに破っている。

 今大会のダニエル戦では、第3セット中盤から疲労を隠せぬ様子だったが、ダニエルは「実際に疲れていただろうけれど、わざと(疲れを)見せているところもあったと思う。そのあたりの駆け引きもうまい」と舌を巻いた。何より最後まで衰えぬサービスは、ダニエル曰く「やっぱりトップ選手の強さ」

 同時に、地力もカリスマもあるそのトップ選手と好ゲームを演じた事実に、ダニエルは「良い形で終われた全米オープンだった」と、自分の言葉にうなずいた。
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