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海外テニス

「今トイレに行くか、行かないか…」女子テニスのサッカリがドーピング検査の大きなストレスについて言及「<SMASH>

中村光佑

2023.09.15

サッカリはドーピング検査の必要性は認めるものの、検査の透明性ややり方については不満を抱いている。(C)Getty Images

サッカリはドーピング検査の必要性は認めるものの、検査の透明性ややり方については不満を抱いている。(C)Getty Images

 現在開催中の女子テニスツアー「サンディエゴ・オープン」(9月11日~16日/アメリカ・サンディエゴ/ハードコート/WTA500)のシングルス準々決勝で敗退したマリア・サッカリ(ギリシャ/世界ランキング9位)が、2回戦後の記者会見で選手全員に義務付けられているドーピング検査に大きなストレスを感じていると明かした。

 既報の通りテニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」は、現地9月12日に元世界1位のシモナ・ハレップ(ルーマニア)が2件のドーピング違反により4年間の資格停止処分を課したと発表。これに伴いハレップは2026年10月までツアー大会出場を禁じられることとなった。なお今回の決定に対してハレップは自身のSNSで「スポーツ仲裁所に訴える」と控訴の意思を表明している。

 会見で上記の一件に言及したサッカリはITIAの決定にどこか納得いかない点があるのか、「どのアスリートに対してもドーピングの検査員たちがやっていることはただただ恐ろしい」と発言。自分が摂取するものには常に気を遣わなければならないことを認識しているとしつつ、「どういった手順で検査が行なわれているのかがよくわからない」と不満を漏らした。

「いずれ私たちはスポーツドリンクさえ摂取できなくなるところまで達すると思う。ありがたいことに、私は出場停止処分を課されたことはないし、もちろんそうなりたいとも思っていない。私はサプリメントに関係するものには細心の注意を払っている。でも、密室でどのようなプロセスで検査が行なわれているのかはわからない。何が起こっているのかについて誰が発言権を持っているのかもわからない」
 
 基本的にドーピング検査はアスリートがカレンダーのようなシステム上に指定した1時間の間に行なわれることになっているが、それ以外の時間に自分がどこにいるのかも細かく記入し、指定時間外に抜き打ちで検査が実施されることもある。そのシステムに欠陥があると主張するサッカリはドーピング検査のずさんな実態をこう説明した。

「彼ら(検査員たち)が持っている『選手の居場所を特定するアプリ』は、現状ではうまく機能していない。通常はアプリが自分の検査の時間を(リマインドで)教えてくれることになっているけど、それがうまくいっていない。以前彼らはそれを改善しようとしたけど、それもうまくいかなかった」

 サッカリは多くの国を行き来する中で度重なるドーピング検査をこなさなければならない現状に大きなストレスを抱いている。「ほぼ毎晩トイレに行くために起きるけど、それが自分の検査の時間帯に近いと、『今トイレに行くか行かないか、それとも検査員が来るまで待とうか』と考えてしまう。特にそれがストレスになる」と言う。

 とはいえサッカリはドーピング検査がスポーツにおいて重要な役割を果たすことを理解していると語る。「テニスにとってもスポーツ全般にとっても良いことであり、我々はそれ(アスリートのイメージ)をクリーンに保たなければならない」と締めくくった。

 おそらくアスリートたちは、一般人が想像もつかないようなストレスフルな生活を送っているのは間違いない。無論ハレップのドーピング違反は許されることではないが、何気なく口にすることも多い薬やサプリメントに関しても慎重にならざるを得ないのは確かにかなりの負担になるだろう。

文●中村光佑

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