海外テニス

アルゼンチン人選手が下部ツアーとATPツアーの待遇差を批判!フェデラーとナダルは「不平等解消に取り組んでこなかった」<SMASH>

中村光佑

2023.10.10

世界ランク236位のトルンゲリッティ(左)は、賞金格差による不平等解消の取り組みが乏しかったとして、フェデラー(右上)とナダル(右下)を批判した。(C)Getty Image

 男子テニス世界ランク236位のマルコ・トルンゲリッティ(アルゼンチン/33歳)が母国メディア『La Nación』のインタビューに回答。そのなかで下部ツアーとATPツアーの待遇差に言及し、昨年9月に現役を引退したロジャー・フェデラー氏(スイス/元1位)と元世界1位のラファエル・ナダル(スペイン/現240位)を「テニス界の不平等解消に取り組んでこなかった」と批判した。

 最高峰の四大大会を含めATPツアーで活躍を続ける選手には大きなスポンサーも付きやすく、資金面で苦しむことはほとんどない。一方でランキング下位の選手は不安定な生活を強いられるケースが多く、たとえ下部ツアーで結果を残したとしても十分な賞金を得られないのが現実だ。

 選手が戦っているステージを考慮すれば、ATPツアーと下部ツアーで一定の格差が生じてしまうのは何ら不思議ではないが、トルンゲリッティはそのような現状をどうにか是正してほしいと主張する。そのうえで過去に男子ツアー全体の決定を司る「ATPプレーヤーズカウンシル」に所属していたフェデラー氏とナダルに批判の矛先を向けた。
 
 トルンゲリッティは、今回のインタビューでテニス界が誇る2人のレジェンドの不平等解消に対する取り組みが「非常に乏しかった」との意見を表明。続けて以下のように率直な考えを口にした。

「通常なら格差是正の取り組みは欠かせないものだと思う。人々はそれを好まないかもしれないが、フェデラーとナダルの2人はそれについて何も言ってこなかった。そういった活動が好ましいかそうでないかにかかわらず、彼ら2人は今のひどいシステムに加担していることになる。なぜなら、彼らは一度も選手の権利について口を開くことがなかったからだ。もし彼らがそれをやったことがあったとしても、それは(僕らからは見えない)内部での動きにすぎなかったと思う。結局は何も変わらなかった」

 海外メディア『UBITENNIS』によると、ここ数か月間にわたってATP は下部大会で獲得できる賞金の引き上げを実施してきた。ちなみに今年のチャレンジャーツアーの賞金総額は推定2,110万ドル(約31億3000万円)で、前年比60%増となる見込みだ(22年は1,320万ドル:約19億5800万円)。
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トルンゲリッティが改めてフェデラーとナダルを非難

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