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国内テニス

【浜松ウイメンズオープン】清水綾乃、追い上げるもタイトルに届かず!ケガを克服した二人の頂上対決はガーランドに軍配<SMASH>

内田暁

2023.10.17

ともにケガを克服してきた清水綾乃(左)とガーランド(右)による決勝はフルセットにもつれ込む接戦の末に後者が初優勝を飾った。写真:浜松ウイメンズオープン実行委員会

ともにケガを克服してきた清水綾乃(左)とガーランド(右)による決勝はフルセットにもつれ込む接戦の末に後者が初優勝を飾った。写真:浜松ウイメンズオープン実行委員会

 女子テニスの国際大会「観音温泉カップ 浜松ウイメンズオープン」(ITF25,000ドル)は10月15日に決勝戦を行ない、第2シードのジョアナ・ガーランド(台湾)が、第7シードの清水綾乃を6-2、4-6、6-4で破り同大会初優勝を手にした。ガーランドは、台湾人の母親とイギリス人の父を持つ英国生まれ。ITF大会は通算7勝目で、砂入り人工芝でのタイトルは初だった。

 前日の夜から降り出した雨は、晴れ間が覗く翌朝も、会場の人工芝を湿らせていた。試合開始は、予定通り午前11時。その立ち上がり、4ゲーム連取で主導権を握ったのは、長身のガーランド。水を吸って文字通り重くなったボールは、パワープレーヤーに優位に働いた。
 
 ただ試合が進むにつれてコートは乾き、するとボールは軽くなる。加えて砂が乾いたことで、足元は滑りやすくなっていた。砂入り人工芝の経験は今回を含め2大会のガーランドに対し、清水は砂入り人工芝の経験が豊富。第2セットは、終始先行した清水の手に。トロフィーの行方は、ファイナルセットに委ねられた。

 トイレットブレークを挟み気持ちも新たに挑んだ第3セットでは、ガーランドがブレークのスタートを切る。清水も得意のバックを軸に追いつくが、重要な局面になるほどミスの減るガーランドが、終盤で再びつき放した。ウィニングショットは、サービスで崩してからのバックのウイナー。今大会のガーランドの、強さを象徴する幕切れだった。

 両選手は4年前にも、大阪市開催のITF25,000ドルで対戦し、ガーランドが勝っている。当時のガーランドは、ノーランキングの18歳。対する清水のランキングは、200位を切っていた。

「当時の私にとってキャリア最大の勝利だった」という金星こそが、ガーランドのツアーキャリアの起点。
 
 一方の清水は、この時の対戦相手が、ガーランドだとは認識していなかった。ただ明確に覚えているのは、この日が、彼女の21歳の誕生日だったこと。

「誕生日に、若い外国人選手にボコボコにやられたことは覚えていた」と、苦い笑いをこぼした。

 その2年後の2020年から2022年にかけ、清水は2度もヒジにメスを入れ、多くの時間をコート外で過ごしていた。ようやく本格的に復帰したのが、昨年の浜松大会。この1年でショートアングルを習得し、プレーの幅を大きく広げた清水は、「ケガする前に戻るのではなく、そこを越えていかなくてはいけない」と毅然と明言した。

 ガーランドも、一昨年に左手首をケガし、ツアーを長期離脱した経験を持つ。ただその間に片手バックで打つスライスを体得。「そのスライスが、今大会のこのコートで有効だった」と笑みを広げた。

 いずれもケガの苦しみを知り、その苦境を乗り越え新たな強さを獲得した二人は、ここから更なる上を目指す。

取材・文●内田暁

【PHOTO】清水綾乃の両手バックハンド、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』

【PHOTO】清水綾乃のサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』

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