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ドーピング違反で元33位のブルックスビーに18カ月の出場停止処分。不服の本人はCASに控訴し「必ず戻ってくる」<SMASH>

中村光佑

2023.10.25

ドーピング検査時の不在が年間3度に上ったブルックスビーは、独立法廷に「過失の程度は高い」と判断され、18カ月にわたる資格停止処分を受けた。(C)Getty Images

 テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」は10月24日、男子元世界ランク33位のジェンソン・ブルックスビー(アメリカ/現301位)に対し、12カ月間に3度ドーピング検査を欠席したことを理由として18カ月間の出場停止処分を課したと報告した。

 2021年にプロに転向し、アメリカ期待の若手として注目を集めてきた22歳のブルックスビーはツアー優勝こそないものの、昨年6月に自己最高の33位をマークするなど順調に躍進。今年1月の全豪オープン2回戦で当時世界3位のキャスパー・ルード(ノルウェー/現8位)を破る金星を挙げたことも記憶に新しい。

 その後、手首のケガによりツアーを離れたブルックスビーだが、今年6月の段階で1年間にドーピング検査を3度欠席したとの疑いが浮上。それを受け、7月5日には自身のSNSを通じて「2023年7月5日をもって、僕は暫定的な出場停止処分を受けることになった」と報告し、「ドーピング検査で違反を犯したことは1度もないし、禁止物質を摂取したこともない。今年3月に決行した手首の手術以降の3回を含め、何度もドーピング検査を受けている」と無実を主張していた。

 このほどITIAが発表した声明文によると、ブルックスビーは1度目と3度目の検査を欠席したことについては過失を認めている一方で、2022年6月4日に実施された2度目の検査の欠席に関しては不服申し立てを行なっていたという。
 
 しかし10月10日に英国のスポーツ仲裁機関「スポーツレゾリューション」が設立した独立法廷が、ドーピング管理責任者(DCO)を含む複数の証人からの聴取ならびに証拠の検討を行なった結果、「検査を怠ったブルックスビー選手の過失の程度は高い」と裁定。「ブルックスビー選手の居場所を特定するためにあらゆる合理的な措置が講じられたことが考慮されており、同選手は特定された時間帯に検査を受けなかったという過失があったことが確認できた」との説明がなされた。

 なおITIAはブルックスビーが「違反行為の疑いが浮上した直後に自ら暫定出場停止処分を受けることを選択した」ため、「今回新たに下された制裁の開始期日は2023年7月5日まで遡り、2025年1月4日に終了する」と通告している。これによりブルックスビーは約1年半にわたってITIAが認可したテニスイベント(ツアー公式戦や四大大会)でのプレーやコーチングはもちろんのこと、それ以外の形で参加することについても禁じられることとなった。
 
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ブルックスビーは検査官側の落ち度を指摘