今年7月に第1子を出産し、現在は来シーズンのツアー復帰に向けて日々トレーニングに励んでいる女子テニス元世界ランク1位の大坂なおみ(26歳)。9月に改めて「来年の全豪オープン(1月14日~28日)には出場する」と断言した彼女は、ランキングが消滅した今も「再びトッププレーヤーとして活躍したい」という思いに変わりはないようだ。
大坂のパフォーマンスコーチを務めるフロリアン・ツィッツェルスバーガー氏が海外テニスメディア『Tennis.com』のインタビューで明かしたところによれば、「彼女は世界ナンバーワンの座に戻りたい、四大大会で優勝したいと思っている」と並々ならぬ意欲を見せているという。
また同氏は出産を経た愛弟子の成長を実感しているとし、「彼女は成熟していて、母親としての美しさも兼ね備えている」とコメント。「彼女の今立たされている状況は、(コーチである)私にも刺激を与えてくれている。彼女は『今の私は心身ともにしっかりとバランスが取れていて、自己満足感も高い』と言っていたよ」
ツィッツェルスバーガー氏は、今後大坂と一緒に取り組んでいくトレーニング内容についても明かした。
「(復帰後に)最高のパフォーマンスを披露するには、通常、妊娠や出産中にある程度失われてしまう運動連鎖の安定性を取り戻すことから始める必要がある。運動連鎖は体幹から腹部、その周辺に沿って成り立っており、長らく彼女の運動連鎖はテニスではなく赤ちゃんを育てることに使われていた。身体の安定性を取り戻す作業の後に、加速や減速、方向転換など、特定の動作に取り組む予定だ。その主な目的はコンディショニングと可動性の向上、そして身体の強化だ」
近年はセレナ・ウィリアムズ(アメリカ/元1位)をはじめ出産後にツアーで活躍する選手も増加傾向にある。とはいえここ最近は有望な若手選手の台頭も著しく、大坂が望み通り以前の強さを取り戻すまでの道のりは決して平坦ではない。事実大坂が2021年の全豪で優勝して以降、ツアー決勝に進出したのは翌年3月のマイアミ・オープン(WTA1000)だけだ。
そうした状況を踏まえてツィッツェルスバーガー氏は「彼女は本当に素晴らしい攻撃的な選手だが、この5年間でツアーの状況が変わり、ディフェンス力の重要性が増してきている」と述べ、大坂の良さを維持しながら現在のツアーに適応するための取り組みを行なっているという。
「我々はナオミが守備から攻撃へより効果的に転じられる選手になれるように取り組んでいる。そうすれば、たとえ相手に押され気味になっても、攻撃的なショットを打つことができる」
育児とテニス選手の両立は心身ともに大きな負担がかかる。そんな中でも全豪での復帰に向けてエネルギーをチャージしている大坂。体調には十分留意しながら順調に調整を進めていってほしい。
文●中村光佑
【PHOTO】大坂なおみのサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
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【関連記事】「自分は本当にこれでいいのだろうか」26歳になった大坂なおみが心境を吐露「頑張っていかねば」<SMASH>
大坂のパフォーマンスコーチを務めるフロリアン・ツィッツェルスバーガー氏が海外テニスメディア『Tennis.com』のインタビューで明かしたところによれば、「彼女は世界ナンバーワンの座に戻りたい、四大大会で優勝したいと思っている」と並々ならぬ意欲を見せているという。
また同氏は出産を経た愛弟子の成長を実感しているとし、「彼女は成熟していて、母親としての美しさも兼ね備えている」とコメント。「彼女の今立たされている状況は、(コーチである)私にも刺激を与えてくれている。彼女は『今の私は心身ともにしっかりとバランスが取れていて、自己満足感も高い』と言っていたよ」
ツィッツェルスバーガー氏は、今後大坂と一緒に取り組んでいくトレーニング内容についても明かした。
「(復帰後に)最高のパフォーマンスを披露するには、通常、妊娠や出産中にある程度失われてしまう運動連鎖の安定性を取り戻すことから始める必要がある。運動連鎖は体幹から腹部、その周辺に沿って成り立っており、長らく彼女の運動連鎖はテニスではなく赤ちゃんを育てることに使われていた。身体の安定性を取り戻す作業の後に、加速や減速、方向転換など、特定の動作に取り組む予定だ。その主な目的はコンディショニングと可動性の向上、そして身体の強化だ」
近年はセレナ・ウィリアムズ(アメリカ/元1位)をはじめ出産後にツアーで活躍する選手も増加傾向にある。とはいえここ最近は有望な若手選手の台頭も著しく、大坂が望み通り以前の強さを取り戻すまでの道のりは決して平坦ではない。事実大坂が2021年の全豪で優勝して以降、ツアー決勝に進出したのは翌年3月のマイアミ・オープン(WTA1000)だけだ。
そうした状況を踏まえてツィッツェルスバーガー氏は「彼女は本当に素晴らしい攻撃的な選手だが、この5年間でツアーの状況が変わり、ディフェンス力の重要性が増してきている」と述べ、大坂の良さを維持しながら現在のツアーに適応するための取り組みを行なっているという。
「我々はナオミが守備から攻撃へより効果的に転じられる選手になれるように取り組んでいる。そうすれば、たとえ相手に押され気味になっても、攻撃的なショットを打つことができる」
育児とテニス選手の両立は心身ともに大きな負担がかかる。そんな中でも全豪での復帰に向けてエネルギーをチャージしている大坂。体調には十分留意しながら順調に調整を進めていってほしい。
文●中村光佑
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