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「グランドスラム1回戦に出場すると…」。西岡良仁がテニス選手の気になる賞金について教えてくれた

スマッシュ編集部

2019.12.19

石川県津幡町で開催した「地域活性化プロジェクト」の講演会で話をした西岡良仁。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 グランドスラムのシングルスの優勝賞金が3億から4億円という破格の値段であることは知る人も多いだろう。しかし、本戦1回戦に出場した賞金額は意外に知らないものだ。テニス選手という職業はお金という面ではどれほど夢のあるものなのか? 錦織圭に次ぐ、日本人2位の西岡良仁が、石川県津幡町で開催された『地域活性化プロジェクト』の講演会で教えてくれた。その内容をお伝えしよう。

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 僕のATPランキングは73位で、2019年シーズンはツアー大会のみを回っていました。まず言っておきたいことは、テニス選手はオフがほとんどないということ。1月から大会がスタートして終わるのが11月。新シーズンに向けてトレーニングもするので、オフは2週間ぐらいです。

 日本にいるのは年間で3、4カ月ぐらい。それ以外は海外で、毎週どこかで試合をして、翌週には違う所で試合をすることを繰り返します。1回戦で負けても、そのまま数日留まって、次の大会に移動することになります。

 上のレベルの大会に出ると1回戦負けが続くことがあります。その中でどうやって勝つかを模索しないといけません。何週間も試合が続く中、まったくATPポイントが取れない時は落ち込むこともあります。

 気持ち的に苦しい時はありますが、ATPトップ100に入ると、どれぐらい夢があるのかをお話しします。
 
 テニス選手はみんな、グランドスラム本戦に出たいと思っています。本戦にダイレクトインできるボーダーがだいたい100位です。本戦に入ると、賞金はどれぐらいなのか。テニス選手は、大会に出場するために毎週どこかに移動しますが、その飛行機代やコーチの食事代や移動代も払うため、ある程度お金がないとやっていけません。

 グランドスラムの1回戦に出るだけで、500万から600万円もらえます。たとえ1回戦で負けたとしてもです。2回戦に進出すると、1000万円ぐらいです。それぐらい夢のある職業であるということを知ってほしい。ただ、そこに行けるのは一握りですが。

 テニスの大会にはグレードがあり、上から、グランドスラム、マスターズ1000、ATPツアー500、ATPツアー250、チャレンジャー、フューチャーズになります。

 フューチャーズの中でもレベルがあり違いはありますが、優勝するとだいたい賞金は25万円ぐらい。チャレンジャーは優勝すると100万円ぐらいです。ATPツアー250になると、本戦に出るだけで100万円ぐらいで、僕が2018年に深圳の大会で優勝した時の賞金は1500万円ぐらいでした。

 ツアーレベルになるだけで、優勝賞金が1桁変わるくらいの差があります。ただ、ATPツアー250のレベルの大会に出場できるのは、ランキング10位から100位ぐらいの選手です。もっと上の錦織選手ぐらいになると、賞金額はすさまじいことになります。でもこれが、皆が上を狙う1つの理由でもあるのです。

構成●スマッシュ編集部

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