男子テニスのシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(11月12日~19日/イタリア・トリノ/インドアハードコート/FIN)は、大会最終日の現地19日にシングルス決勝を実施。世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が同4位のヤニック・シナー(イタリア)を6-3、6-3のストレートで下し、自身の最多記録を更新する同大会7度目の優勝を飾った。
両者はこれが5度目の顔合わせで、対戦成績はジョコビッチが3勝1敗とリード。その1敗は今大会のラウンドロビン(総当たり戦)第2戦で喫したもので、2時間29分に及ぶ大接戦の末に5-7、7-6(5)、6-7(2)でシナーに“4度目の正直”を許していた。だがリベンジマッチが実現した決勝では、ジョコビッチが36歳とは思えない驚異的なパフォーマンスを見せつけた。
立ち上がりからサービスが好調のジョコビッチは、ストローク戦でも相手を左右に揺さぶるアグレッシブなプレーでスムーズにポイントを重ねていく。すると第4ゲームではシナーの強烈なサービスをしっかりと返球し、粘りのディフェンスを軸にブレークポイントを取得。最後はフォアハンドの打ち合いを制して均衡を破ると、以降も冷静なプレーを見せたジョコビッチが幸先よく第1セットを先取する。
第2セットに入ってもクオリティが落ちないジョコビッチは、シナーの攻撃を完璧に封じながら、深さのあるショットをことごとく打ちこんで主導権を掌握。第1ゲームをラブゲームでブレークすると、自身のサービスゲームでは第1セット同様にフリーポイントを量産する。一方のリターンゲームでは約15分を要した第7ゲームを含めなかなか2個目のブレークを奪えないもどかしい展開が続き、チャンスボールでも立て続けにミスを犯して徐々に嫌な流れに…。
それでもシナーのブレークポイントを幾度となく凌ぐなど追撃を許さないジョコビッチは、第8ゲームでも0-30から何とかキープ。直後の第9ゲームでは相手のミスにも助けられてポイントを先行し、チャンピオンシップポイントではシナーがダブルフォールトを犯して勝負あり。1時間42分でファイナルズ7度目の戴冠を果たした。
試合後のATP(男子プロテニス協会)のインタビューでジョコビッチは「これまでの人生で最高のシーズンの1つだったことは間違いない」と、8度目の年間1位も手にした今季を満足気に総括。続いて今大会のプレーを振り返りながら以下のように喜びを表現した。
「素晴らしいテニスをしてきた地元の英雄であるヤニックに勝ってシーズンを締めくくることができた。今週のプレーには(自分でも)驚いているよ。準決勝のアルカラス(スペイン/2位)とシナーに対するこの2日間のパフォーマンスを非常に誇りに思っている。彼らは現時点で僕とメドベージェフ(ロシア/3位)に次ぐ世界最高の2人だからね」
そして最後にはコートサイドから戦況を見守ってくれていた自身の子どもたちに対し、次のように感謝の言葉を口にした。
「彼らが何が起こっているのかを理解できる年齢に達した時に、彼らの前でプレーしたいと常に思っていた。僕は2人の素晴らしい天使の父親になれたことにとても感謝している。彼らは僕の人生にたくさんの幸せや喜び、そして力を与えてくれている」
キャリア通算では98度目のツアータイトルを獲得したジョコビッチ。“鉄人級の強さ”とは彼のために作られた言葉ではないかと思ってしまうほどだ。今後も若手の大きな壁として立ちはだかることだろう。
文●中村光佑
【動画】ATPファイナルズ決勝!ジョコビッチ対シナーのハイライト
【全米オープン2023 PHOTO】四大大会通算24回目の優勝を果たしたノバク・ジョコビッチの厳選フォト!!
【動画】ジョコビッチの年間ランキング1位が決定! 喜びの表彰セレモニーの様子
両者はこれが5度目の顔合わせで、対戦成績はジョコビッチが3勝1敗とリード。その1敗は今大会のラウンドロビン(総当たり戦)第2戦で喫したもので、2時間29分に及ぶ大接戦の末に5-7、7-6(5)、6-7(2)でシナーに“4度目の正直”を許していた。だがリベンジマッチが実現した決勝では、ジョコビッチが36歳とは思えない驚異的なパフォーマンスを見せつけた。
立ち上がりからサービスが好調のジョコビッチは、ストローク戦でも相手を左右に揺さぶるアグレッシブなプレーでスムーズにポイントを重ねていく。すると第4ゲームではシナーの強烈なサービスをしっかりと返球し、粘りのディフェンスを軸にブレークポイントを取得。最後はフォアハンドの打ち合いを制して均衡を破ると、以降も冷静なプレーを見せたジョコビッチが幸先よく第1セットを先取する。
第2セットに入ってもクオリティが落ちないジョコビッチは、シナーの攻撃を完璧に封じながら、深さのあるショットをことごとく打ちこんで主導権を掌握。第1ゲームをラブゲームでブレークすると、自身のサービスゲームでは第1セット同様にフリーポイントを量産する。一方のリターンゲームでは約15分を要した第7ゲームを含めなかなか2個目のブレークを奪えないもどかしい展開が続き、チャンスボールでも立て続けにミスを犯して徐々に嫌な流れに…。
それでもシナーのブレークポイントを幾度となく凌ぐなど追撃を許さないジョコビッチは、第8ゲームでも0-30から何とかキープ。直後の第9ゲームでは相手のミスにも助けられてポイントを先行し、チャンピオンシップポイントではシナーがダブルフォールトを犯して勝負あり。1時間42分でファイナルズ7度目の戴冠を果たした。
試合後のATP(男子プロテニス協会)のインタビューでジョコビッチは「これまでの人生で最高のシーズンの1つだったことは間違いない」と、8度目の年間1位も手にした今季を満足気に総括。続いて今大会のプレーを振り返りながら以下のように喜びを表現した。
「素晴らしいテニスをしてきた地元の英雄であるヤニックに勝ってシーズンを締めくくることができた。今週のプレーには(自分でも)驚いているよ。準決勝のアルカラス(スペイン/2位)とシナーに対するこの2日間のパフォーマンスを非常に誇りに思っている。彼らは現時点で僕とメドベージェフ(ロシア/3位)に次ぐ世界最高の2人だからね」
そして最後にはコートサイドから戦況を見守ってくれていた自身の子どもたちに対し、次のように感謝の言葉を口にした。
「彼らが何が起こっているのかを理解できる年齢に達した時に、彼らの前でプレーしたいと常に思っていた。僕は2人の素晴らしい天使の父親になれたことにとても感謝している。彼らは僕の人生にたくさんの幸せや喜び、そして力を与えてくれている」
キャリア通算では98度目のツアータイトルを獲得したジョコビッチ。“鉄人級の強さ”とは彼のために作られた言葉ではないかと思ってしまうほどだ。今後も若手の大きな壁として立ちはだかることだろう。
文●中村光佑
【動画】ATPファイナルズ決勝!ジョコビッチ対シナーのハイライト
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