海外テニス

男女テニスツアーが深夜に及ぶナイトセッションの制限を発表。頻繁に変わる大会使用球も見直しへ<SMASH>

中村光佑

2024.01.10

テニスのプロトーナメントではナイトマッチが深夜や明け方に及ぶことも珍しくない。ATPとWTAはその予防策を試験的に導入すると発表した。(C)Getty Images

 現地時間1月9日、男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)は共同で公式声明を出し、2024年シーズンは男女を問わず四大大会以外のツアー公式戦で試合終了時刻が深夜帯に及ぶことを防止するためのスケジューリングを試験的に導入すると発表した。

 近年は深夜または早朝に試合が終了するケースが増えていることを受け、現役選手からも批判の声が続々と上がっている。

 中でも22年2月22日に行なわれたアカプルコ大会(ATP500)のシングルス1回戦は代表的なケースの1つで、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)がジェンソン・ブルックスビー(アメリカ)にフルセットで勝利した試合が終わったのは22日午前5時だった。

 また23年8月に行なわれたモントリオール大会(WTA1000)では、現地11日夜に始まったエレーナ・ルバキナ(カザフスタン)とダリア・カサキナ(ロシア)による準々決勝が12日午前3時に終了。翌13日に実施された準決勝でリュミドラ・サムソノワ(ロシア)に逆転で敗れたルバキナは、直後の記者会見で「よく理解できない状況が多いから、今後は何かが変わることを願っている」とWTAを糾弾していた。
 
 その願いがようやく実現するかもしれない。このほどATPとWTAは声明文で「近年は試合終了時刻が遅くなる(日付が変わってから終了する試合と定義)が大幅に増加しており、選手やファンに悪影響を及ぼしている」と指摘した上で、「2024年1月より、試合のスケジュールに関する新たな規則が男女のツアー大会に試験的に導入される」と発表。具体的な規定は以下の通りである。

・1コートあたり1日5試合まで(第1試合は午前11時開始)。デイセッションは3試合、ナイトセッションは2試合とする

・ATP、WTAのスーパーバイザーと両団体の経営陣が協議して承認した場合を除き、午後11時以降に試合をコートに入れてはならない

・午後10時30分までに指定のコートが空かない場合は、遅くとも午後11時までに別のコートに移動させる

・ナイトセッションは遅くとも午後7時30分までには開始する。推奨開始時間は午後6時30分とする
 
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大会ごとに頻繁に変わる使用球の問題にも取り組むと発表