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海外テニス

試合終了が“午前3時”の激戦を制したルバキナが「よく理解できない状況が多い」とWTAを批判<SMASH>

中村光佑

2023.08.15

悪天候により進行が大幅に遅れた「ナショナルバンク・オープン」。ルバキナは、大会側に柔軟な対応を求めなかったWTAに苦言を呈した。(C)Getty Images

悪天候により進行が大幅に遅れた「ナショナルバンク・オープン」。ルバキナは、大会側に柔軟な対応を求めなかったWTAに苦言を呈した。(C)Getty Images

 先週の女子テニスツアー「ナショナルバンク・オープン」(8月7日~13日/カナダ・モントリオール/ハードコート/WTA1000)のシングルス準決勝で敗退した世界ランク4位のエレーナ・ルバキナ(カザフスタン)。試合後の記者会見では、大会主催側に柔軟なスケジューリングを行なうよう必要な働きかけをしなかったWTA(女子テニス協会)を批判した。

 悪天候により進行に大幅な遅れが生じた今大会、第3シードで出場したルバキナは、初戦(2回戦)から順当に勝ち上がると、ダリア・カサキナ(ロシア/現13位)と対戦した準々決勝では、3時間27分にも及んだ激戦を制してベスト4に進出。だが、現地11日夜に始まったこの試合が終了したのは、日付が変わった翌12日の午前3時頃だったため、ルバキナが床に就いた時には、午前5時近くになってしまっていたという。

 そのおよそ5時間後の午前10時頃に目が覚めてしまったことで、疲れが取れなかったというルバキナは、雨天順延により13日に実施された準決勝でリュミドラ・サムソノワ(ロシア/現12位)に6-1、1-6、2-6の逆転で敗退。ただ疲労困憊だったルバキナからすれば“不幸中の幸い”だったと言えるかもしれない。というのもこの試合の勝者は、1日で準決勝と決勝を戦うダブルヘッダーとなることが決まっていたからだ。
 
 カナダメディア『The Canadian Press』は、準決勝敗退後に疲れ切った様子で会見に臨んだルバキナのコメントを紹介。時折大会中に負傷したという右肩を押さえながらも、結果を受け入れる必要があるとして謙虚にこう語った。

「(悪天候による)スケジュールの問題もあって、滅入ってしまって気分も良くないけど、それが現実。残念なことに、選手たちはこのような状況では何もできない。(順延などの)決断は私たちが下すわけではない。(確かに)天気が良くなかったのが悪い方向に働いた。ケガをしたのも事実だけど、なんとかしようとしたし、そこからどうするか考えようとした」

 一方でルバキナは大会側にフレキシブルな対応を求めなかったWTAを「ちょっと未熟だったと思う」と淡々とした口調で批判。「こういう時に重要なのはWTAの動き方だと思うから。願わくはこういう事態は今回が最初で最後であってほしい。今のところ彼ら(WTA)のリーダーシップは少々弱いし、今年はよく理解できない状況が多いから、これから何かが変わることを願っている」と続けた。

 悪天候による進行の遅れは致し方ない部分もある。とはいえ選手からこういう声が上がった以上、特に全ての試合が外コートで行なわれる大会は、対応策を考えていくべきだろう。ルバキナの訴えが何らかの変化を生むきっかけになることを期待したい。

文●中村光佑

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