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目指すは優勝ただ一つ!全豪オープンジュニアに挑む17歳、齋藤咲良の「やり切りたい」熱い思い<SMASH>

内田暁

2024.01.25

世界トップレベルのジュニア選手である齋藤咲良が、未だ手にしていない最後のワンピースを目指してメルボルンで戦っている。(C)Getty Images

 Sara Saitoの名が、全豪オープンジュニア部門の、女子単複に入っていた。

 齋藤咲良。既にITF25,000ドルで優勝し、WTAランキングでも298位につける、日本テニス期待の17歳だ。

 昨年は全てのグランドスラムジュニアに出場し、年間ランキング上位8選手が集う"ジュニア・ファイナルズ"では準優勝。その時点で、「ジュニアは卒業」と半ば決めていたという。

 だが、何かが引っかかった。

「今まで結構、グランドスラム(ジュニア)に出てきたけれど、優勝はなかなかできなくて。ダブルスでは3大会で準優勝でしたし、ジュニア・ファイナルズも(シングルス)準優勝。2位が多かったので、自分の中で心残りがあって……」
 
 自身に問いかけるように、彼女が言う。確かに昨年はジュニアランキングも、最高2位。それもポイントでは同数ながら、出場大会数が多いがために甘んじた地位だった。

 頂点に肉薄しながらも、一歩及ばない――その事実が、"大人"への移行をほぼ心に決めていた彼女の、後ろ髪を引く。

「やっぱり、優勝したいなって。ジュニアでやりきったと思いきれない。プロにそのまま移行するかどうかずっと迷っていたので、迷うくらいなら出た方が良いのかなと思って、今回に出ました」
 
 コーチたちとも相談した末に全豪オープンジュニアの出場を決めたのは、開幕までひと月を切った頃だった。

 明確に「優勝」を目指し出場した今大会では現地1月24日の時点で、シングルスでベスト8、ダブルスでは準決勝に勝ち上がっている。

 昨シーズン末から現在に掛けて、明確に進化を自覚できるのは、一つにはフィジカルだ。

「去年末にタイで行なわれたナショナルチームの合宿に参加し、振り回しの練習をたくさんやりました。そのおかげか、相手に攻められてもニュートラルに戻し、自分からポイントを取る形が前より多くなりました」

 そしてもう一つの改善点が、サービスである。昨年の中頃から齋藤は、トレーナーの柴原瑞樹に師事し、サービス強化に取り組んできた。なお柴原瑞樹は、柴原瑛菜の兄。"サーブ専門コーチ"の異名を取るほどの腕を誇り、妹の瑛菜も兄の指導を受けた直後に、全仏混合ダブルスを制した。
 
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同年代の躍進を感じながらも齋藤は自身の目標を見据える