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国内テニス

ジュニアテニス世界4位の齋藤咲良!“大人の大会”でも結果を残す無垢なる16歳が目指すもの<SMASH>

内田暁

2023.05.19

ジュニア大会では今季2勝している16歳の齋藤だが、“大人の大会”でも存在感を放っている。写真は4月開催の「かしわ国際オープン」。写真:スマッシュ編集部

ジュニア大会では今季2勝している16歳の齋藤だが、“大人の大会”でも存在感を放っている。写真は4月開催の「かしわ国際オープン」。写真:スマッシュ編集部

 背筋を伸ばしコート上を歩く姿には、自信と、ある種の風格が漂う。

 ボールを打ち抜くフォームには力みがなく、放たれるショットは端で見ていても重そうだ。

 4月末に岐阜で開催されたカンガルーカップ(ITF80000ドル/W80)では初戦突破。翌週の福岡(ITF60000ドル/W60)では、予選から挑み本戦ベスト8へ。この戦績で、世界ランキング500位突破が確定している。

 ただ、コート上の堂々たる佇まいとは対照的に、オフコートの彼女は常にはにかんだ笑みをこぼし、語る言葉も少なめだ。

 そんな初々しい素顔は、彼女がまだ“ジュニア”でもあることを物語る。

 世界ジュニアランキング4位の齋藤咲良は、“シニア(大人)”の世界でも結果を出しランキングを駆けあがる16歳だ。

 ジュニアでの戦績を見れば、今季の齋藤は5大会に出場し、2大会で優勝。

 一つはパラグアイ、一つはブラジル開催の大会で、いずれもコートの種類はクレーだ。赤土で有効なドロップショットや、コートを広く用いる戦術眼も、齋藤が備える武器。そのような豊富な手札は、岐阜(ハード)や福岡(砂入り人工芝)で、大人たち相手に戦う時にも効果的だった。

 日本にはほとんど存在しない赤土を得手とするその理由は、彼女のキャリアに依拠しているだろう。
 
 11歳の時に齋藤は、富士薬品による “支援プログラム”メンバーの座を勝ち取った。既に日本では同世代のトップだった当時の彼女には、「海外にはどんな子がいるんだろう? 自分はどれくらい通じるんだろう?」という好奇心があったという。

 年間累計4カ月の海外遠征に行かせてくれる同プログラムは、無垢なる向上心を満たしてくれる格好の機会だった。10代前半で欧州の大会を経験し、「すごくドロップショットがうまい」同世代選手たちと赤土で多く手合わせした齋藤の心と目は、自然と世界へ向けられる。

「富士薬品さんのサポートがなかったら、今頃は高校に通ってインターハイを目指していたと思う」と振り返るほどの、人生の分岐点だった。

 ジュニアで試合経験を積みつつ、15~16歳で“大人の大会”に挑戦するのも、その頃から思い描いていたビジョンだ。
 
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