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八百長行為をきっかけに一度は姿を消した男子テニスの元ホープが現役復帰。7年半ぶりに公式戦の本戦で勝利!<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.05.08

2016年の全豪オープンジュニアで男子シングルスを制したオリバー・アンダーソン。八百長で道を踏み外したホープが、26歳で再スタートを切った。(C)Getty Images

 男子テニスの元「全豪オープン」ジュニア王者、オリバー・アンダーソンが、メキシコで開催されたITFツアー「M25ハラパ」(4月29日~5月5日/メキシコ・ハラパ/ハード)で予選を突破し、本戦の準々決勝まで進出した。現在26歳になった彼にとって実に7年半ぶりのプロツアー本戦勝利だった。

 ジュニアのグランドスラム(四大大会)優勝者といえども、輝かしい未来が保証されているわけではない。それは周知の事実だが、アンダーソンほど急激にキャリアを暗転させたチャンピオンはいないだろう。だからこそ、今回の勝利は大きな驚きをもって受け止められている。

 アンダーソンが一躍その名を知られたのは2016年だ。17歳だったオーストラリア人は、予選ワイルドカードを得て地元の「ブリスベン国際」に出場すると、当時世界150位のデニス・ノビコフと109位のティム・スミチェク(共にアメリカ)に勝利してATPツアー本戦デビュー。続く全豪オープンでは、シニア部門こそ予選敗退したものの、ジュニア部門では順調に勝ち上がり優勝を果たした。08年のバーナード・トミック、13年のニック・キリオスに続く地元ホープの栄冠にオーストラリアは沸いた。

 突如としてその希望が壊れたのも同じ16年だった。10月、オーストラリア・トララルゴンで開催されたATPチャレンジャーの1回戦で、アンダーソンは同胞のハリソン・ロンベと対戦。4-6、6-0、6-2で勝利を挙げたが、直後からテニス・インテグリティ・ユニティ(TIU/現在のITIAの前身で、テニス界の不正を取り締まる機関)に八百長の疑いで捜査される。

 スポーツベッティングで、世界ランク1624位のロンベが704位のアンダーソンから第1セットを取ることに1万ドルを賭けようとする不自然な動きがあったことから、疑惑が生じていたのだ。すぐさま暫定的な出場停止処分も下された。
 
 調べによると、アンダーソンは、友人で同じプロ選手のアイザック・フロストから、ロンベとの試合で第1セットを落とすように頼まれ、八百長が目立たないように4ゲームを取りつつセットを相手に渡したという。

 18年9月、アンダーソンのテニス腐敗防止プログラム(TACP)違反が確定し、八百長を認めていた彼には19カ月の出場停止処分が下された。暫定的な処分期間がすでに19カ月経過しており、この時点で刑は完了。20歳のアンダーソンはテニスキャリアを再開する自由を得たのだが、度重なるケガもあって現役を引退。テニスとパフォーマンスのコーチとして第2のキャリアを歩んでいた。

 そんなアンダーソンがプレーヤーとして復帰したのは、今年3月。オーストラリアのITFツアー「M25ミルデュラ」に予選から出場し、予選決勝で敗退。続く2戦目で予選から本戦ベスト8に食い込み、復帰後初勝利を挙げたわけだ。

 7年半のブランクを埋めるのはたやすいことではないが、かつてのホープはまだ26歳。セカンドチャンスを生かし、恵まれた才能を発揮することができるか、注目していきたい。

構成●スマッシュ編集部

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