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海外テニス

「退屈では誰も見ないさ」異端児か?革命児か? 悪童キリオスが語る、一本芯の通ったテニスへの思いとは?

内田暁

2020.01.22

全豪オープン直前のヨネックスのイベントにて、自身のスポーツの定義や仲間のデミノーについて話してくれたキリオス。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

全豪オープン直前のヨネックスのイベントにて、自身のスポーツの定義や仲間のデミノーについて話してくれたキリオス。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 異端児か、あるいはテニス界の未来を築く革命児か――?
 
 ニック・キリオスの行くところトラブルとニュースは絶えることなく、彼の一挙手一投足をめぐり、喧々囂々(けんけんごうごう)、賛否両論の論争が巻き起こる。

 昨年も、コートに椅子を投げ入れた末の試合放棄や、主審への暴言などを重ね、ついには「今後6カ月以内に違反行為を犯したら、16週間の出場停止と$2万5000の罰金」と言い渡された。現在は、言ってみれば“執行猶予中”の身である。

 だがそれら悪名を馳せる一方で、オーストラリアの森林火災被害救済の寄付を率先して行ない、ATPカップでは母国のために、単複で八面六臂の活躍を見せた。「自分より大きい何かのため」にプレーをすることを好む彼は、新たに生まれたATPカップ、そしてテニス界そのものを、どのように見ているだろうか?

「オーストラリアンオープンの準備という意味でも、ATPカップは完璧な大会だ。良い友人たちと楽しく試合し、満員の観客の前でプレーできたんだからね。
 新しいデビスカップや、スケジュールのことを色々と言う人たちがいるけれど、正直、僕はテニス界のために、チームイベントは絶対に必要だと思っている。ファンだって、これだけたくさんの人たちが見にくるんだ。むしろ、トーナメントが多すぎるんだよ。デビスカップ、ATPカップ、レーバーカップ……、これらは残るべきだが、テニスシーズンは短くあるべきだ」
 
 チーム戦はむしろ増やしつつ、シーズンそのものを短くすべき――。この発言だけを聞くと、いささかとっぴに響くかもしれない。だがそこには、彼が思う“スポーツの定義”にも関する、一本の芯が通っている。

「スポーツっていうのは、本来チーム戦だと思っている。プロのテニス選手は誰だって、お金を稼ぎ、色んな人たちも巻き込みながら、ファンを喜ばせたいと思っているものだ。スポーツは究極的には、エンターテインメント。すると行き着くところはチーム戦になる。

 僕だけじゃなくて、チームイベントで戦う時は誰もが発奮し、自分のベストが引き出される。チームメイトや国など、自分よりもっと大きいモノのために戦っているからさ。特に今回のATPカップはシーズン最初の試合だったので、誰しも良いプレーをしたかったはず。

 もしATPがトーナメントばかりでチームイベントをなくしたら、テニスに未来はないと思うね。トーナメントには、もしかしたら高いレベルの試合が多いのかもしれない。でも退屈では誰も見ないさ」
 

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