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海外テニス

全豪オープンで「大騒ぎするマナー違反の観客が増えた」の声に大会側は「追い出された人の数は例年と変わらない」と一蹴<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.01.24

雰囲気が良いことから「ハッピースラム」と呼ばれる全豪オープンだが、度を越した1部の観客の行為が選手たちを困らせてもいる。(C)Getty Images

雰囲気が良いことから「ハッピースラム」と呼ばれる全豪オープンだが、度を越した1部の観客の行為が選手たちを困らせてもいる。(C)Getty Images

 テニス四大大会の一つで、“ハッピースラム”とも呼ばれる「全豪オープン」。明るく楽しい雰囲気で親しまれてきたが、そのスタンドの騒々しさが度を越してしまったのか、今大会では選手サイドから観客のマナー違反を指摘する声が上がっている。

 準決勝に進出している元世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)も、客席に苦しめられた一人だ。

 ロッド・レーバー・アリーナで行なわれたイリ・レヘチュカ(チェコ/同29位)との男子シングルス4回戦。ジョコビッチがあっさりと2セット先取すると、第3セットでレヘチュカがレベルを上げたタイミングで一部の観客が騒ぎ始めた。やがてエスカレートし、8ゲーム目のサービスでジョコビッチはモーションを止めざるを得なかった。審判の警告もむなしく騒音は止まない...。気が散った元王者はエラーを犯し、信じられないというように腕を振って苛立っていた。

 観客が騒いだ理由を想像するなら、この日のナイトセッションのシングルスがこれのみだったこともあり、少しでも長い試合にしようと、後のないレヘチュカにアドバンテージを与えたかったのだろう。それでも集中力を取り戻したジョコビッチは3セットで勝ち切ったが。

 また、女子シングルス3回戦で敗れたダニエル・コリンズ(アメリカ/同11位)は、2回戦で観客を挑発し、次のラウンドでは試合中に客席から何度もブーイングを浴びた。しかし、これもことの発端は観客から発せられたヤジにあった。

 2人は騒がしい観客について不満を述べた際、彼らが一線を越えたのは飲酒が一因かもしれないと示唆。今年の全豪の観客は質が低下したという主張につながった。

 実際、お酒絡みで試合途中にコートが変更される事態も起こっている。

 男子シングルス2回戦のアレハンドロ・ダビドビッチフォキナ(スペイン/同66位)対フェリックス・オジェ-アリアシム(カナダ/同23位)戦だ。隣のコートの観声がサッカースタジアム並にうるさかったための緊急措置で、そこはバーが特設された「コート6」だった。
 
 こうした主張に対して、大会ディレクターのクレイグ・タイリー氏は次のように反論した。

「(全豪オープンでは)常に1人か2人は不適切な行動を取る人がいます。今大会で会場を追い出された人の数は例年と変わりません。会場にやって来て周りの人の楽しみを邪魔するような振る舞いは歓迎されないことを明確に伝えています。

 全豪の観客は、世界で最も教養があり、試合を最も楽しんでいると私は信じています。騒然とする瞬間は常にありますが、それが選手やイベントにもたらすエネルギーは素晴らしいものだと考えています」

 全豪は長年にわたり驚異的な観客数を誇っており、昨年は四大大会で初めて100万人を超えた。今年も好調で新記録を樹立する勢いだという。大会側はこれまで、観客の移動ルールを緩和したり、先述の画期的なバー併設コートを作ったりと、さまざまな改革を行なってきた。そうして醸成してきた“ハッピー”な雰囲気が、多くの観客に受け入れられてきたということだろう。

 ただ、最大の主役である選手のハッピーが損なわれては、最高の試合は望めなくなってしまいそうだが...。

構成●スマッシュ編集部

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