テニス四大大会の一つで、“ハッピー・スラム”とも呼ばれる「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート)。長きにわたって明るく楽しい雰囲気で親しまれており、質の高いホスピタリティを提供していることで選手たちからも高い人気を誇るトーナメントである。昨年の観客動員数は四大大会で初めて100万人を超え、今年はそれをさらに上回る110万人超えの新記録を樹立。それだけ“ハッピー”な雰囲気が多くのファンに受け入れられているのだ。
そうした中、トーナメントディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏が新たな変革に踏み切ろうとしている。豪ニュースサイト『perthnow』によれば、未だかつてない四大大会での“土曜日開催”を検討しているというのだ。
周知の通り全豪は試合終了時刻が日を跨ぐケースが増えていたことを踏まえ、対応策として昨年から1回戦を3日間にわたって行なう“日曜日開催”に変更し、大会期間を従来の14日間から15日間へと拡大していた。一方、今回提案された“土曜日開催”は「オーストラリアでもっと多くの人にテニスを見てもらいたいという飽くなき欲求」に基づいたもので、大会のさらなる発展を図ることが主な目的になっているという。
タイリー氏は「選手やファンにどのような影響を与えるかを慎重に考えずに何か新しいことをするつもりはない」と前置きしつつ、変革の青写真をこう語っている。
「(観客動員数や収益の増加から)大会自体が成長していると言える。より多くの人々がテニスをプレーしたり、クラブに参加したりもしているし、それに伴い、これまで以上に多くのラケットとボールが売れている。
つまり、テニスはオーストラリアでちょっとしたブームになっていて、入場券を買うためにお金を払う人も増えている。そうした状況から我々は土曜日開催を計画しているわけだ。我々はファンの(豊かな)体験を追求しており、より多くのものを提供したいと考えている」
今年の全豪では男子シングルス準決勝で途中棄権を選択したノバク・ジョコビッチ(セルビア/同6位)へのブーイングや、女子シングルス3回戦で敗れたダニエル・コリンズ(アメリカ/同12位)への執拗なヤジなど、一部のファンないしは観客が「ハッピー・スラム」の評判を台無しにしている主張が多く聞かれた。それでもタイリー氏は新たな変革への前向きな姿勢を保っていく構えだ。
「他人に不快感を与える人が必ず1人か2人はいるが、それが人間の自然な行動だ。観客の行動については心配していない。ゲートを通過する観客の数は記録的だ。ファンの大多数、99.9%は行儀よくしていた」
しかし全豪の土曜日開催は前哨戦との兼ね合いの点を含め、とりわけツアースケジュールの編成において新たな懸念を生みかねないのも事実だ。興行的利益を重視しすぎるがあまり、最大の主役である選手の“ハッピー”が損なわれては元も子もない。土曜日開催を導入するにしても慎重に議論が行なわれることを願いたい。
文●中村光佑
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タイリー氏は「選手やファンにどのような影響を与えるかを慎重に考えずに何か新しいことをするつもりはない」と前置きしつつ、変革の青写真をこう語っている。
「(観客動員数や収益の増加から)大会自体が成長していると言える。より多くの人々がテニスをプレーしたり、クラブに参加したりもしているし、それに伴い、これまで以上に多くのラケットとボールが売れている。
つまり、テニスはオーストラリアでちょっとしたブームになっていて、入場券を買うためにお金を払う人も増えている。そうした状況から我々は土曜日開催を計画しているわけだ。我々はファンの(豊かな)体験を追求しており、より多くのものを提供したいと考えている」
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「他人に不快感を与える人が必ず1人か2人はいるが、それが人間の自然な行動だ。観客の行動については心配していない。ゲートを通過する観客の数は記録的だ。ファンの大多数、99.9%は行儀よくしていた」
しかし全豪の土曜日開催は前哨戦との兼ね合いの点を含め、とりわけツアースケジュールの編成において新たな懸念を生みかねないのも事実だ。興行的利益を重視しすぎるがあまり、最大の主役である選手の“ハッピー”が損なわれては元も子もない。土曜日開催を導入するにしても慎重に議論が行なわれることを願いたい。
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