日本時間の2月11日、全米テニス協会(USTA)は、全米オープンの混合ダブルスに関するニュースをリリースした。
「2025年全米オープンでは、混合ダブルスがメインステージに! トップスターたちが栄冠を懸け、ファン・ウィークで戦う」
この見出しだけ見れば、混合ダブルスの地位向上が成されるように映る。ただ実態は、混合ダブルスの開催を本戦開幕の前週へと移し、エキジビション的な位置付けにするというものだ。
試合フォーマットは、決勝戦以外は、1セット4ゲーム先取の3セットマッチに短縮。さらには参戦チーム16枠も、「2人のシングルスランキングの合計上位8組と、主催者推薦の8組」になるという。つまりはシングルス選手たちの参加を促し、ダブルス・スペシャリストの参戦はほぼ不可能となる立て付けだ。
1887年から続く伝統を、あまりに唐突に断つかのようなこの発表に、選手たちも戸惑いを隠せない。直近の全米オープン混合ダブルス優勝者のサラ・エラーニは、パートナーのアンドレア・ババッソーリと連名で、「伝統と歴史。現代ではそれらの価値が棄損されている」と題した抗議文をインスタグラムに投稿。混合ダブルスは「キャンセルされ、エンターテインメントとショーに特化した偽りのエキジビションに取って代わられた」と記した。
USTAの発表から2日後。カタール・オープン(WTA1000)のダブルス準決勝進出を決めたエラーニにこの件を尋ねると、溜まっていた思いを吐き出すように、彼女は一息に語り始めた。
「私たちは、USTAの決断にものすごく、ものすごく腹を立てています。テニスの伝統に、そしてダブルス選手たちに対し、完全に敬意を欠いた行為だからです。
大会がエキジビションをやりたいなら、それは結構です。でもそれとこれとは、別の話。混合ダブルスに真剣に向き合い、100%の力を投入してプレーしている選手たちもたくさんいる。そして何より、これは私たちの“仕事”なんです」
そんな彼女の憤りは、事前通達を一切しない、USTAの姿勢にも起因する。
「大会には、自分たちが良いと思うことをやる権利があるでしょう。問題は、私たち選手の誰一人にも相談しなかったことです。完全にゼロ。何の通達もなかったんです。どうやって私が、このニュースを知ったか? インターネットですよ」
そう語るエラーニの口調や表情からは、シングルス5位に達した彼女がいかにダブルスも愛し、自分の“仕事”に誇りを持っているかが強く伝わってくる。
実際に昨年の全米オープンで、混合ダブルス初優勝を手にした彼女は、その場にしゃがみ込み、叫び、パートナーと固く抱擁し、全身で歓喜を表現していた。
「あれは、素晴らしい瞬間でした。どの試合もタフだったし、特に1回戦ではマッチポイントを凌いで勝ったんです。真剣勝負だからこそ、人々は感情移入するんです。私たちがコート上で全力を尽くすからこそ、見どころのある試合になるんです。エキジビションは、楽しませるのが目的。それは、グランドスラムの精神ではないと思います」
「2025年全米オープンでは、混合ダブルスがメインステージに! トップスターたちが栄冠を懸け、ファン・ウィークで戦う」
この見出しだけ見れば、混合ダブルスの地位向上が成されるように映る。ただ実態は、混合ダブルスの開催を本戦開幕の前週へと移し、エキジビション的な位置付けにするというものだ。
試合フォーマットは、決勝戦以外は、1セット4ゲーム先取の3セットマッチに短縮。さらには参戦チーム16枠も、「2人のシングルスランキングの合計上位8組と、主催者推薦の8組」になるという。つまりはシングルス選手たちの参加を促し、ダブルス・スペシャリストの参戦はほぼ不可能となる立て付けだ。
1887年から続く伝統を、あまりに唐突に断つかのようなこの発表に、選手たちも戸惑いを隠せない。直近の全米オープン混合ダブルス優勝者のサラ・エラーニは、パートナーのアンドレア・ババッソーリと連名で、「伝統と歴史。現代ではそれらの価値が棄損されている」と題した抗議文をインスタグラムに投稿。混合ダブルスは「キャンセルされ、エンターテインメントとショーに特化した偽りのエキジビションに取って代わられた」と記した。
USTAの発表から2日後。カタール・オープン(WTA1000)のダブルス準決勝進出を決めたエラーニにこの件を尋ねると、溜まっていた思いを吐き出すように、彼女は一息に語り始めた。
「私たちは、USTAの決断にものすごく、ものすごく腹を立てています。テニスの伝統に、そしてダブルス選手たちに対し、完全に敬意を欠いた行為だからです。
大会がエキジビションをやりたいなら、それは結構です。でもそれとこれとは、別の話。混合ダブルスに真剣に向き合い、100%の力を投入してプレーしている選手たちもたくさんいる。そして何より、これは私たちの“仕事”なんです」
そんな彼女の憤りは、事前通達を一切しない、USTAの姿勢にも起因する。
「大会には、自分たちが良いと思うことをやる権利があるでしょう。問題は、私たち選手の誰一人にも相談しなかったことです。完全にゼロ。何の通達もなかったんです。どうやって私が、このニュースを知ったか? インターネットですよ」
そう語るエラーニの口調や表情からは、シングルス5位に達した彼女がいかにダブルスも愛し、自分の“仕事”に誇りを持っているかが強く伝わってくる。
実際に昨年の全米オープンで、混合ダブルス初優勝を手にした彼女は、その場にしゃがみ込み、叫び、パートナーと固く抱擁し、全身で歓喜を表現していた。
「あれは、素晴らしい瞬間でした。どの試合もタフだったし、特に1回戦ではマッチポイントを凌いで勝ったんです。真剣勝負だからこそ、人々は感情移入するんです。私たちがコート上で全力を尽くすからこそ、見どころのある試合になるんです。エキジビションは、楽しませるのが目的。それは、グランドスラムの精神ではないと思います」