エラーニのこの憤りに、多くのダブルス・スペシャリストたちも共鳴した。
2023年全仏オープン混合ダブルス優勝者の加藤未唯も、エラーニとババッソーリのインスタ投稿をシェアした1人。“魅せるプレー”の体現者でもある加藤は、自身の思いを次のように語った。
「混合ダブルスの価値が認められなくなったようで、寂しいです。混合は見ても面白い競技だと思うし、それは真剣勝負だから。真剣だからこそ、エンターテインメント性も生まれるのだと思います。それに、グランドスラムの混合ダブルスに出るにはランキング30位以内が目安になるので、1つの目標でもありました。初めて出られた時は、とてもうれしかったのを覚えています」
一方でこの変更の恩恵を受け、久々に混合ダブルス出場の運びになりそうなのが、シングルス5位のジェシカ・ペグラだ。2023年11月にはダブルスランキング1位に達し、グランドスラムで単複、混合複の3種目にエントリーしていたこともあるペグラ。ただここ数年はシングルスに注力し、現時点でのダブルスランキングは50位である。
テニス界きってのオールラウンダーにしてオピニオンリーダーに、この件について尋ねると、彼女は理知的な語り口で、自分の意見を明瞭に綴った。
「賛否両方の思いが入り混じります。私の立場からすると、本戦の前の週に行なわれる方が、参加しやすいのは確かです。ただこのような決断をいきなり下すのではなく、もっと事前に、選手に対し透明性のある説明が成されるべきだったと思います。ダブルス選手のみならず、シングルスを含めた全ての選手が不信感を抱き、大会との関係性を悪化しかねないやり方だからです」
「私は混合ダブルスへの参加を望んでいるし、恐らくは大会側も、私たちが出ることを望んでいるのでしょう。ただこの変更によって、参戦できなくなる選手も多い。正直、去年の時点で知らせてくれていれば、まだ良かったのにと思います。同じ年に突然このような大きな変化があると、調整する時間もないのだから」
ツアー全体への影響や、選手と大会との関係性をも危惧するペグラは、「それでも、新しいことに挑戦する姿勢は興味深いし、結果的に、良いイベントになればと思います」と続けた。
USTAの発表の翌日、全豪オープンを主催するテニスオーストラリア(豪テニス協会)は、「混合ダブルスは今年も盛況だった」として、変更の予定はないと発表。「混合ダブルスは、テニスの魅力を伝える格好の場であり、男女が力を合わせ対戦できる数少ない機会」だと、その価値を強調した。
果たして今回の変更は、テニス界の草分けとなるのか、あるいは全米オープンの勇み足に終わるのか?
今後の動向を注視したい。
取材・文●内田暁
【動画】エラーニが優勝を決めた2024年「全米オープン」混合複のマッチポイント
【関連記事】全米オープン混合複の“前倒し開催”で波紋! ダブルスランキング無視に前年王者は「大きな不公平だ」<SMASH>
【関連記事】女子ダブルス失格の加藤未唯が混合ダブルスで優勝!名誉挽回で日本人3人目の快挙「ここ数日はチャレンジの日々だった」<SMASH>
2023年全仏オープン混合ダブルス優勝者の加藤未唯も、エラーニとババッソーリのインスタ投稿をシェアした1人。“魅せるプレー”の体現者でもある加藤は、自身の思いを次のように語った。
「混合ダブルスの価値が認められなくなったようで、寂しいです。混合は見ても面白い競技だと思うし、それは真剣勝負だから。真剣だからこそ、エンターテインメント性も生まれるのだと思います。それに、グランドスラムの混合ダブルスに出るにはランキング30位以内が目安になるので、1つの目標でもありました。初めて出られた時は、とてもうれしかったのを覚えています」
一方でこの変更の恩恵を受け、久々に混合ダブルス出場の運びになりそうなのが、シングルス5位のジェシカ・ペグラだ。2023年11月にはダブルスランキング1位に達し、グランドスラムで単複、混合複の3種目にエントリーしていたこともあるペグラ。ただここ数年はシングルスに注力し、現時点でのダブルスランキングは50位である。
テニス界きってのオールラウンダーにしてオピニオンリーダーに、この件について尋ねると、彼女は理知的な語り口で、自分の意見を明瞭に綴った。
「賛否両方の思いが入り混じります。私の立場からすると、本戦の前の週に行なわれる方が、参加しやすいのは確かです。ただこのような決断をいきなり下すのではなく、もっと事前に、選手に対し透明性のある説明が成されるべきだったと思います。ダブルス選手のみならず、シングルスを含めた全ての選手が不信感を抱き、大会との関係性を悪化しかねないやり方だからです」
「私は混合ダブルスへの参加を望んでいるし、恐らくは大会側も、私たちが出ることを望んでいるのでしょう。ただこの変更によって、参戦できなくなる選手も多い。正直、去年の時点で知らせてくれていれば、まだ良かったのにと思います。同じ年に突然このような大きな変化があると、調整する時間もないのだから」
ツアー全体への影響や、選手と大会との関係性をも危惧するペグラは、「それでも、新しいことに挑戦する姿勢は興味深いし、結果的に、良いイベントになればと思います」と続けた。
USTAの発表の翌日、全豪オープンを主催するテニスオーストラリア(豪テニス協会)は、「混合ダブルスは今年も盛況だった」として、変更の予定はないと発表。「混合ダブルスは、テニスの魅力を伝える格好の場であり、男女が力を合わせ対戦できる数少ない機会」だと、その価値を強調した。
果たして今回の変更は、テニス界の草分けとなるのか、あるいは全米オープンの勇み足に終わるのか?
今後の動向を注視したい。
取材・文●内田暁
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